マスコミという言論機関は、時に「横暴で差別的」な面を持ち、紛争戦闘地域の犠牲となっ
た人についても、茶の間の正義として正そうとする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「週刊ニュース深読み」(NHK総合) 2012年8月25日8時15分~
20日にシリア北部のアレッポで銃撃されて死亡したジャパンプレスの山本美香記者の事
件を取り上げた。
丁度死亡する寸前の映像が映っていて、直前まで、民家のベランダにいる女子供の様子
や、路上で父親らしき男性に抱かれている赤ん坊に「かわいい」と日本語で呟いている。
本人は危険を察知していなかったのに違いない。
死者に鞭打つ気は毛頭ない。
女だてらに内戦の最前線にまで「報道」が目的で出かける勇気は、凡人には理解できな
いが、立派なことなのだろう。
しかし、この日の伝え方も他のメディアの伝え方~例えば某紙の見出し、
『優しいまなざし失わす゛山本さん最後のリポート』などを読むと、ちょっと違うのでないか
と違和感がある。
中東の国の、対立する2派が完全武装して一触即発の戦争状態にある最前線で、そうで
なくても目立つ他国の女が、いかに武装した男たちの後に続いたとはいえ、丸腰で赤ちゃ
んに笑顔を見せながら歩くとは非常識極まりない。
想像力欠如、戦争の何たるかがわかっていない。結果は自己責任である。
ピュリッツァー賞狙いかと勘繰りたくなる。
同行の佐藤某とは男女の仲だそうだし何がジャーナリストだ。
元朝日社員の父親が自分の娘について「素晴らしい素晴らしいジャーナリストでした」と
絶賛したのにも呆れた。
筆者の親なら間違いなく、「多くの方にご迷惑をかけ、お騒がせして申し訳ありませんで
した」と謝ったはずである。この親にしてこの子ありだ。
(黄蘭)
(J-CASTテレビウォッチ)
http://n.m.livedoor.com/f/c/6908451
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こういった記事を目にすると、さて何が言いたかったのか要領を得ない。
まぁ犠牲を、さも持ち上げる日本のマスコミの態度に怒りを持って、戦場への不遜とも
取れる犠牲者の態度についての、そしてその父の報道機関上がりとは思えぬ言動にも
憤懣がありそうだが、ただ戦場での態度とそれを批判する人が置かれている立場となれ
ば、絶対的に安全で過ごしやすい場所にいて「戦場」を語るのはいささか「場違い」の謗り
を受けそうである。
で、そういった場違いの人々の発言をそれとなく映像で批判していたのが、イラク戦争の
一断面を描いた「ハートロッカー」ではないだろうか。
http://www.youtube.com/watch?v=SLCiIJCthn4&feature=fvwrel
「ハートロッカー」 十年公開作
イラク戦争における「爆弾処理班」の活躍を描くこの映画は、その処理班の立場からの
描写として犯人を追い詰めたりする中で、「絶対安全な場所から爆弾を破裂」させるという
戦場での戦いというより、身の安全を先に考えテロに徹する一面汚いやり方に処理班の
主人公は怒りを爆発させるという、スクリーンを眺めている観客についても、戦場に参加
することなく戦場での兵士達の「蛮行」について批判するのは、いささかおかしな言動と、
何より卑怯という語句も含まれて、人間性の崩れ去った反社会的者達の諍いを冷静に
見ているから、引き込ませて体感させる・・・。
そんな意図を持ったカメラワークの見事さが戦場での極一般的人間であった兵士を、何
が変えていったかを「淡々と描く爆弾処理」の緊迫感の中に閉じ込めた・・・。
とも取れる混沌としている戦場での乾いた引きつる湿気と、米国の戻った主人公の「虚脱」
に如実に現れる「命のやり取り」への魅力に取り付かれた主人公の異常性を背景の一面に
ずらりと並ぶ商品棚とかで、選択の余地に迷う主人公の戦場での「命のやり取り」とを観客
に比較させれば、おのずと映画のインパクトは強くなっていく。
自らをいつも危険にさらす場所に導いていくのは「危険中毒」の病気とも取れる社会的逸脱
だが、不毛の論争を平時で行っている戦争論をも「一笑に伏せる」一兵士のお話・・・。
戦場においての映像に、茶の間からの批判をしていてもそれは安全地帯での戯言と取れる
し、大概の人は一笑に付す類いなのだが、ただ父親のコメントとしては「元報道機関」となれ
ば、もしっとましなコメントをしないと「やっぱりアサヒる」報道機関は、いつものことで茶の間
から正義を説いていると、これも一笑に付される類いのものである。
ハート・ロッカー [DVD]/ジェレミー・レナー,アンソニー・マッキー,ブライアン・ジェラティ
- ¥3,990
- Amazon.co.jp