昔は「聖職」と呼ばれたはずの者の犯罪がヒーロー的扱い?「太陽を盗んだ男」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

「政権交代」が教育制度を「元に戻そう」として「研修制度に前向きでない怠
惰な教師」を救うかに見えたが、如何せん「政権交代」を担った政党が「すべ
てにおいて怠惰な無能力」をひけらかせてしまって、その延長にいた「教師」
もまた、ここに来て大慌てで、「更新の講習」に躍起となるという記事からは、
普段の「仕事ぶりがうかがえて」流石は政権政党の支持母体と「国民をがっか
り」させる・・・。

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教員免許の更新に必要な講習に教員の応募が殺到し、キャンセル待ち状態など
が続出している。衆院選で政権交代を果たした民主党が、一度は教員免許更新
制度の廃止を打ち出したものの、その後の参院選で惨敗。「ねじれ国会」で制
度廃止の法案が提出できず、いまも制度が存続しているためで、制度存廃をめ
ぐる迷走劇の余波が教育現場を直撃した格好。“駆け込み”応募の急増で受講
しにくい状態となっており、教員の間からは「受講できなければ教員を辞めな
いといけないのか」などと動揺が広がっている。
教員免許更新制度は、自公政権下で平成21年度に始まり、教員免許に10年
の有効期間が設けられた。文部科学省認定の大学などで必要な講習を受け、認
定試験に合格しなければ教員免許は失効する。
大阪府では、23、24年度に受講が必要な教員や講師は計約1万人。必修の
「教育の最新事情」講習では、府内で23年度、13大学が計約4700人分
の講習を用意しており、大阪教育大は最も多い3千人分を受け持っている。
ところが、大教大が今月6日午後4時に専用サイトで受講受け付けを始めたと
ころ応募が殺到。翌日午前0時ごろまで、ほとんどサイトにつながらない状態
が続いた。
大教大によると、15日午前の時点でも、講習の定員の9割以上がキャンセル
待ちの状態。特に、教員が受講しやすい夏季の講習に応募が集中しているとい
う。大教大の担当者は「講習の数も十分に用意したが、他府県からの申し込み
も多く予想を超えた部分もあった」と驚く。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110615/plc11061515050009-n1.htm

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東京都内の公立学校の式典で君が代斉唱時、教員に起立を求める校長の職務命
令が「思想・良心の自由」を保障する憲法に反するかどうかが争われた訴訟の
上告審判決で、最高裁第三小法廷(田原睦夫裁判長)は十四日、命令は合憲だ
として、処分取り消しを求めた教員側の上告を棄却した。
(中略)
君が代の起立斉唱命令をめぐる最高裁の三つの判決では、三小法廷の計十四人
の判事のうち、二人が反対意見を述べた。
合憲の結論に賛成した十二人の判事からも、教育現場に「寛容さ」を求めるな
ど七人が補足意見を述べた。憲法が保障する精神的自由の重みを印象づけた。
(以下略)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011061502000032.html

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橋下知事、ジャカルタで君が代歌う
2011年6月16日18時39分 YOMIURI ONLINE 読売新聞 ジャカルタ=西山幸太郎
インドネシア出張中の橋下徹・大阪府知事が16日、
ジャカルタ市内の中高一貫校を視察し、国歌斉唱を披露する一幕があった。
府議会では3日に教職員に国歌の起立斉唱を義務付ける全国初の条例が成立し
たばかり。橋下知事は同校のホールで教員や生徒ら約60人を前にあいさつし、
「日本では、戦争を思い出すという理由で国歌を立って歌わない教員がいる。
僕が立って歌えというだけで、大問題になっている」と話した。
学校側から「そんな教員がいたらクビ」との声が上がると、
知事は「僕も(別に処分条例をつくって)クビにしようとしている」と応じた。
教員らは、インドネシアの国歌を全員で歌い出し、橋下知事にも日本の国歌を歌
うよう提案。知事は同行した府職員らと一緒に立って君が代を歌った。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110616-OYT1T00861.htm
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血道を上げて「国旗・国歌」に対して異を唱えて、そのくせ「免許制度」となれ
ば「不適格」という烙印を押されかねないものたちは、安定した職場を自ら放棄
も出来ずに、駆け込み講習に躍起となる記事からの「その姿」には、教育の形骸
化が改めて顕著になったようで、将来を担う子供達にとって、相当な不幸を押し
付けてしまっていると、変な教師像がそこはかとない「尊敬から外れる労働者」
と、今現在の「現場で奮闘する他の公務員」との乖離がこの日本の歪みの象徴と
見られて、モンスター・ペアレントも増加するのはむべからぬと思えてくる。

そんな「聖職」と昔はそれなりの尊敬を抱いた教師の中には、己の知識をフル
稼働して職務以外に血道を上げて、そこにアンチヒーローを埋め込めば、痛い人
の出来上がりと、映画としての出来を抜けば、それこそ「「職場放棄」のいい訳
を壮大に見せ付けているのが、この「太陽を盗んだ男」となりそうである。

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「太陽を盗んだ男」 七十九年公開作

時代は「全共闘終焉」の「しらけ」を敏感に察すれば、それへのアンチテーゼ
としての「思想」を持ち込んで、そこにより過激な表現方法を思いつく・・・。
と、反体制のヒーローを普段は中学教師として描けば、その思想・信条は自由
とばかり、どだい「職場放棄」していても見咎められない「天国の職場」とな
る。そして何より生徒からの不満も「だめ教師」の烙印で、その実、「世界で
九人目の原爆製造者」として描けば、「隠した才能は計り知れない」と映像の
力を持ってすればそれなりの説得力を発揮する。
映画の出来は、詳細な人間感情を省けば、それこそ力づくのアクション映画よ
り面白い出来上がりである。
ただ、このキャストには違和感があり「自己満足」を演出も出演者もしている
ようで、今一「痛快なキレはない」ものとなっている。
そして公開当時以後も「名作」としているらしいのに、「はぁっ」とため息が
もれるものである。
普段は全くやる気のない教師、生徒との関わりも薄く、関心があるのは「原爆
作り」普通の思考では「そんなぁ、奴はいねぇだろう」と、そいつが目的もな
くそれを作ることにのみ傾注する様は、市井の研究者が発明をするのと何も変
わらぬ日常である。それが「原爆」というところを除いて・・・。

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プロローグでの細工は上々で、東海村を覗き込む遠景と日常の怠惰な姿、犯罪
的映画の「掴み」はタイトルのそれと共に見るものにとっては、何かがあると
期待を膨らませるのに充分だし、窃盗の場面でのカメラワークは秀逸である。
それらは勿論、コミカルな映像が事の重大さをすんなりと以後に溶け込ませる
布石として練られた構成であると思うが、残念ながらその展開の速さは、徐々
に失速していって、物語が進むにつれて「超人」へと変身してしまう脚本の練
られ加減が、惜しまれるものとなってしまった。
そしてキャラクター的に主人公の生活観が少しもなく、そこには触れない様は
やはり「こんな奴、いねえだろう」の違和感を生んでしまう。
これが警官役でちょいと出た水谷豊であったら、全く違った生活観を生み出し
て荒唐無稽なものも狂気の演技として、リアルな教師となり・・・。
と、あまり主役の悪口を書くと、ネットに数々ある評価にけちをつけるとなり
そうだから・・・。止めるとして・・・。
この映画のインパクトを決定付けたのは、原爆でなく伊藤雄之助の「皇居突入」
の場面であろう。
ものの見事に「戦争犯罪」をそこに結びつけ、そして体制に殺されるという製
作者のにんまりする場面は、後の物語がすべてにおいて「現場の思いつき」の
アクションにしてしまって、娯楽映画に「全共闘のやるせなさ」を持ち込んだ
と、つきつめれば「何が言いたい」という意味不明な最後へと突っ走って、不
死身な刑事となまくらな教師でもない職業不詳のテロリストとの活劇・・・。
と、今見てしまうと「初見」の受けたものとは相当に「色褪せてしまう」のは
反体制の「芯のなさ」も脆くも見せ付けているようである。
昔の日活の「無国籍映画」として捉えれば、今でも面白い娯楽作品ではある。

ここでの教師像は「教育」自体が「空気」として描くから、設定は教師だが
リアルなものでなく、職業怠慢な「給料泥棒」という印象が強くなりそうだ。
だけに上の報道記事にある「聖職の不甲斐無さ」は相当に蝕まれて、今に
続いていると見える。それは時代の変遷とマスコミの「古典的二枚舌」と良く
似て、「責任のありかの矜持」の喪失という全共闘のそれと被って来る・・・。


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             といったところで、またのお越しを・・・。