今に通じる暴力映画「県警対組織暴力」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

相当に勉強が出来る人でも「頭が良い」とは限らず、そこらに勘違いも起こり、
また自分に実力もないのに「権力の傘」に入っていると、これまた錯覚してし
まう「下っ端」は、どこの世界にもいるようで、この政界という魑魅魍魎の世
界にも、「ああ、勘違いの馬鹿」が存在していて・・・。

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・民主党の松崎哲久衆院議員(60)=埼玉10区=が今年7月、航空自衛隊
入間基地(埼玉県狭山市)で行われた納涼祭で秘書が運転する車を呼び寄せる際、
空自側の規則どおりの対応に不満を抱き、隊員に「おれをだれだと思っているの
か」と“恫喝 (どうかつ)”ともとれる発言をしていたことが17日、分かった。
防衛省幹部や、自衛隊を後援する民間団体「航友会」関係者が明らかにした。
入間基地では今月3日の航空祭で、航友会の会長が「民主党政権は早くつぶれ
てほしい」と発言。これを受け、防衛省は自衛隊施設での民間人による政権批判
の封じ込めを求める事務次官通達を出した。松崎氏は会場で会長の発言も聞いて
おり、周囲に強い不快感を示していたため、「納涼祭でのトラブルも遠因になり、
異例の通達につながったのでは」(防衛省幹部)との見方も出ている。
松崎氏は7月27日の納涼祭に来賓として出席。帰る際に駐車場から約30メー
トル離れた場所に自分の車を呼び寄せるよう、車両誘導担当の隊員に要求した。
だが、歩行者の安全確保策として片側通行にしていた道路を逆走させることにな
るため、隊員は松崎氏に駐車場まで歩くよう求めた。
ところが、松崎氏は歩行者はいないとして車を寄せるよう指示。隊員が拒否した
ところ、「おれをだれだと思っているのか」「お前では話にならない」などと発
言した。
別の隊員が松崎氏の秘書が運転する車を逆走させる形で寄せると、「やればでき
るじゃないか」という趣旨の発言もした。誘導担当の隊員が「2度と来るな」と
つぶやくと、松崎氏は「もう1度、言ってみろ」と迫ったとされる。こうした過
程で、松崎氏が誘導担当の胸をわしづかみにする場面もあったという。
松崎氏は産経新聞の取材に一連の発言をすべて否定し、「(隊員の)体には触れ
ていない」と述べた。一方、「(受付を通り越して)駐車場でしか車を降りられ
ないなど誘導システムが不適切だと指摘はした」と説明し、「隊員に2度と来る
なと言われたことも事実。(自分は)何も言っていない」と話している。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101118/crm1011180131004-n1.htm
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この馬鹿の経歴がそれなりに評価される学歴社会の「悪弊」だが、単に勉強が出
来ても「頭の良い」とは限らず、ここでいう「頭の良い」とは即座にそれでいて
「空気」を読んでも「一般常識」を失わずに行動出来る人という意味であり、傍
目に見てもそつない人という意味だ。
力のない者、ここでは腕力も加味して気概の毅然としていない人が、恫喝する背
景は権力の傘を意識したもので、こういった言動の者は「軽蔑の対象」であろう。

そしてそんなものの中に「暴力団」と権力としての「警察」も勘違いの素養が含
まれ、良く「顰蹙を買う」言動をしてしまう。
そんな「勘違い」の人々の暴力の中にある「人間性」と「人間としての気概」に
忠実な人の「哀愁」を描けば、権力対反権力が区別の範囲を超える関係性を垣間
見せ、「廃れいく忠義」と「生き馬の目を射る」変遷を見事に対比して見せたの
が深作欣二監督作品の「警察対組織暴力」である。


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「警察対組織暴力」 七十五年公開作

「仁義なき戦い」のヒット以降の「バイオレンス映画」の一遍だが、主役が
ヤクザから警察官へとなって、社会的に相反する組織が、実は癒着を起こしたり、
組織の存在意義が同じ土俵上であったりと、組織内での権力争いも似通っていて
人間が作り出す組織のおぞましさも垣間見せ、そして何より「取り残されていく」
以前からあった「義侠心」という日本古来の「美徳」も、組織にあっては、いや
成長していく経済と共に「忘れ去られる」、しかしそれに忠誠を誓う者は排除の
運命と、時の残酷さ「社会の変容」も映像に取り入れて、単にバイオレンス一辺倒
でない「先見性」わ見せている・・・。

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悪徳刑事役の菅原文太、そして古臭生き方しか出来ぬヤクザに松方弘樹、権力を旨く
利用して「天下る上司」役に梅宮辰夫、下っ端役で川谷拓三と役者が揃えば、非常に
面白いものとなって来る。
もつとも背景が「仁義なき戦い」の対立するヤクザ組織となるから、類似なものとも
見て取れてしまう。
ただ悪徳刑事が意気投合する旧態依然のヤクザという設定は、やはり「任侠」の失わ
れて行く時代を投影して、新旧の醜悪さの違いが、とても良く映像化されている。
暴力映画の中にある「時代の流れ」には、疎外されていく者の悲しみが色濃く滲み、
そこに監督の美学が出ていて、「仁義なき戦い」の中では描けない人間の性と哀愁も
バイオレンスの中に息衝いていた。
もっとも衝撃的「取調べ室」の川谷拓三とのやり取りには、びっくりこいてしまい、
警察か暴力団の違いの狭間が、今では考えられない程似通っていて、にんまりしてし
まう・・・。
にしても、この映画で成田三樹夫が演じる「新興ヤクザ」のやり方に、なんとも上の
人物がダブって、勘違いのお馬鹿は「救い難し」を認識させる・・・。
何より 映画にも悪徳政治家が登場するが、これがまた同じような悪党でと、なんとも
「言論統制」という悪徳に勤しむ現政権の「醜悪さ」と、時代を超えて似通っているは
日本にとっては「哀しむべき」ことなんだろう。


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                  といったところで、またのお越しを・・・。