メキシコ麻薬抗争とおとり捜査官「ブルドッグ」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

メキシコにおける「麻薬抗争」は激しさを増して、それを取り締まるべき「警察」機構も

なすすべなく、そして田舎の町では「二十歳の警察署長」まで登場してしまい・・・。

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メキシコ:署長は20歳の女子大生 「麻薬の街に平和を」

【メキシコ市支局】麻薬組織間の抗争が泥沼化し、
一般人や警察官も含め年間数千人の死者が出ているメキシコで20日、
20歳の現役女子大生が警察署長に任命された。
管轄は米テキサス州との国境に接する人口8500人のプラセディス市で、麻薬取引が

盛んな危険地帯。
恐れをなした警察官の退職が後を絶たず、空席の署長職を募集したところ
応募者がこの女性1人しかいなかったため、異例の抜てきとなった。
AP通信などによると、新署長は1児の母でもあるマリソル・バジェスさん。
大学では犯罪学を専攻、同市に住んで10年になる。
着任にあたり「息子のためにも、市民が恐れず外出できる、以前の街の姿を取り戻した

い」と抱負を述べた。
同市では麻薬組織による殺人事件が多発し、先週1週間だけでも8人が死亡、今年6月

には市長が殺された。
捜査当局も襲撃や買収の標的となるため、バジェスさんには護衛2人がつく。
市と周辺一帯では警察官の退職が相次ぎ、警察は事実上機能していない。
バジェスさんは就任と同時に署員を3人から13人へ増やした。
メキシコと米国の国境地域では、麻薬の密輸ルート確保を巡る抗争が過熱。
米国で消費されるコカインの9割がメキシコ経由で密輸される代わりに、
メキシコの麻薬組織が使う銃のほとんどが米国から逆密輸されている。
メキシコでは過去4年間に約3万人が抗争で死亡した。

毎日新聞 2010年10月21日 19時25分(最終更新 10月21日 19時34分)
http://mainichi.jp/select/world/news/20101022k0000m030017000c.html

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アメリカとメキシコの陸続きの国には、豊かさと貧しさが際立っていて、それが国境の町

ともなればなおさらである。

勿論豊かなアメリカと貧しいメキシコで、犯罪組織にとって「ボーダー・ライン」と呼べる地

は、また「金になる場所」でもある。

上の記事はそんなところの警察署長に驚きの女性誕生のものだが、それだけ抗争勃発と

それと共に「麻薬商売」がアメリカで「手っ取り早い金儲け」となっている現実が滲んでいる

し、拝金主義に陥れば「魂売っても金儲け」はどこの国にも当てはまりそうである。

そんなところに「社会正義」としての立候補は「立派」であるが、それだけ「社会が病んでい

る」と見ることも出来る。

映画の題材としては、それもアクションとなればこの「麻薬抗争」の題材は格好のものであ

るし、単純明快な「社会正義」として現場が活躍出来るものである。

この記事を読んで後、録画していたものを見たら、これがそのままメキシコとアメリカの「麻

薬」に対するおとり捜査官と麻薬組織の対峙という設定の映画だったので、記事内容と合わ

せて興味深く見た。



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http://www.youtube.com/watch?v=Nxv0VLPy2_o

「ブルドッグ」 〇三年公開作


アクションの「小気味良いテンポ」と主役の頑迷そうな風貌と行動力が、邦題の名

づけの源泉であろうと思うが、なかなかに引き込まれるキャラクターではある。

おとり捜査で情報を掴み、麻薬組織の壊滅を図る。

そこの現場で働く、以前はそちら側であった主人公達というのも、なによりだ。

そしてメキシコの麻薬組織のボスを逮捕したところから始まる「個人的不幸」によっ

て「ブルドッグ」並みの獰猛さを発揮していく主人公と仲間達・・・。

もっとも展開からして「アレッ」てな別組織の存在を匂わせつつ、結果的に捕らえた

ボスの獄中からの指示と、それに呼応した組織のチグハグな展開には、怪訝になる

が強引にラストへ突っ走る躍動感は、少々のチグハグさを蹴散らして・・・。

「見ていて面白かった」で、組織の壊滅云々やら「一般市民」の迷惑・犠牲には一切

関心がない的扱いに、アクションとしての練の少なさが気にはかかった・・・。




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http://www.youtube.com/watch?v=XPE2p0_x40c

「ボーダーライン」 八十三年未公開作


こちらは国境警護隊と「密入国」を金にしているアメリカの組織との攻防。

と、当時からアメリカの悩みであったものを、ブロンソンを隊長として現場の苦労と

実態を描いている大人しいアクジョン映画。

盛り上がりに欠けてブロンソンものなのに公開されなかったのがなんとなく分かる出来

である。

それでも犯罪組織のものが「エド・ハリス」のデビュー作としては、準主役の悪人という

のは、相当な信頼とも取れる。

そんなだから悪役を張り切って演じているのは、見ていてすがすがしい。



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もっとも「ベトナム戦争」の陰をちらつかせると、なんとなく「後遺症」のある役どころとなって

「密入国手引き」程度での「殺人」にはあまりの強引さもあって、上の「麻薬」とちがってエス

カレートしすぎではないかとも思えてくる。

まぁ、ブロンソンだからその存在があるだけで、退屈な映画も見ていられる程度の出来で

はある。


それにしても「密入国」してでも稼ぎたい貧しさと豊かさがとなり合わせというのも「皮肉」な

もので、そしてアメリカにすれば「増えすぎた移民」に悩む結果となって今日では「待遇改

善」のデモもあると聞くと、こういったアクション映画の題材も、小説より奇なり」な展開もあり

そうで、需要と供給の論理が崩れぬ限り、「いたちごっこ」なのだろう・・・。

女子大生警察署長の「奮闘」を祈るばかりだ。


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Amazon.co.jp                といったところで、またのお越しを・・・。