少し前の報道で「色素欠乏症」の受難を知ったが、その受難が「迷信」に
由来するとかに、多数の価値観から外れてしまう異形に対する畏怖と
偏見が存在して・・・。
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「アルビノ殺人」恐れ、1万人が避難 アフリカ南東部
11月30日21時45分配信 CNN.co.jp
アフリカ南東部のタンザニアとブルンジで、生まれつき色素を持たず
皮膚の色が白い「アルビノ」の人々約1万人が、殺人被害を恐れて
政府が設置した避難所などに逃げ込んでいることが、国際赤十字の
報告で明らかになった。
両国では、「アルビノ」の体には特別な力が宿るという伝統的な考え
から、臓器や体の一部など売却する目的で、アルビノの人々が
殺されるという悲劇が後を絶たない。2007年以来、タンザニアでは
少なくとも44人、ブルンジでは14人が殺されている。
タンザニアのアルビノ・センターによると、同国には約20万人のアルビノ
の人々がいるという。国際赤十字によると、ブルンジ政府が養護学校
などに設置した緊急避難場所にアルビノの人が約1万人ほど逃れて
きている。いずれも、アルビノの体を狙った犯罪から逃れるためだ。
タンザニアでは11月初旬、アルビノ男性を殺して体を切断し、臓器
などを呪術医に売りさばいたとして、4人が死刑判決を受けている。
タンザニア政府はアルビノの人々を守るため、警察に警戒指示を
出しているが、警官の数が少なく伝統的な考え方が根強く残る地方
では、アルビノ殺人が防げない状況だという。タンザニアとブルンジ
の赤十字は、人道的な支援が必要だと訴えている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091130-00000020-cnn-int
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自分の常識外に対して、誰しも畏怖する感情やら排除論理が沸き起こり
それが「差別」へと繋がっていく。
そこに着目する映画は、有り得ない「創造物」を登場させ、興味本位の物語
を作り出して、観客の度肝を抜く手法で商売を成り立たせる。
そういったものに「怪物もの」も含まれてくるが、そこにその怪物の感情を表現
すれば、また違った見方も現れ、悲劇的な扱いを受ける怪物にも感情移入
するということも起こる。
「蓼食う虫も好き好き」で、そんな個性は表れた当初より以後、さまざまなもの
へと変化して行き、絶対的常識が崩れ去り、受け入れる土壌の端緒となる場合
もある。
そんなものの中にハマーと共に、「半魚人」なるクリチャーを登場させたものも
http://www.youtube.com/watch?v=lM1o1xe5FGE
「大アマゾン 恐怖の半魚人」 五十四年公開作
モノクロのフィルムでも、作り手の情熱が伝わるものもある。
この色物的扱いの映画も、また被り物をする人の演技には
素直に職業意識の高さを感じて、モノクロにも関わらずその
シーンの美しさには感嘆する。
物語はアマゾンで発見された足型化石から調査に乗り出して、
未知の生物「半魚人」を捕らえるが、逆に手痛い反撃を食らい、
そしてその場から去るって、ただの見世物としての「クリチャー」として、
そしてその怪物が恐ろしく人間らしく行動する様を捉えたもの。
説明をすると完璧なB級映画であるのだが、ただその筋立てと
半魚人の行動が「男の行動パターン」をトレースしているから
魅力的でか弱き女性を登場させれば、成り立ってしまう「諍い」
と相成って、女を巡る争いは、古今東西、いや怪物も人間も
なんら変わることない「自然な人間の行動パターン」を異形
に演じさせることとなるで、あまりの人間臭さに、昔の人は
人間の醜い心が投影させると、怪物を生む。あるいは醜悪な
創造が人間の姿の投影、実際はあのような姿が人間なのかも
という、哲学を勿論、含んではいない色物扱いの映画。
http://www.youtube.com/watch?v=s0gLAuY0Z44
「半魚人の恋心」
で、この半魚人の人間の女性への恋心を良く現している
シーンがこれで、特撮、いやコンピューター技術のない時代
被り物のまま、泳ぐというのだけでも一苦労だろうに、無呼吸
泳法がとても素晴らしい・・・。
もっともだいたい上の画像のような水着姿でアマゾンの奥地
で水浴びする気が・・・。って、こういうお約束を持ってこなかったら
客が映画館に来ない・・・。
こういった場面では見栄えの良い女性がとなり、このジュリー・アダムス
になるのだが、ここで半魚人が男である・・・。
いや審美眼が、男そっくりであるが分かる。
「美女と野獣」を例に引くまでもなく、結局諍いの原因は女が作る
を地で行っていて、何もアマゾンの奥地で、そんなことで諍いを起
こさなくても・・・。というか、普通に逃げられる調査隊って何なの?
それにしても容姿は完全に不気味なのに、女性に抱く恋心は普通の
人間の男と同じは分かるのだが、はてでは母親は、父親は・・・。
とか、架空の怪物などだからどうでもいいですよものだが、これが
メスだったら、今度は調査隊の筋肉マンがストーカーされる?
http://www.youtube.com/watch?v=-lXP6Qj_4-w
「着ぐるみ俳優 ビル・チャップマン」 インタビュー
着ぐるみ俳優という、こういった人がいないと成り立たない映画では、
そのポーズやら動作だけで演技するのは大変である。
その上、あの水泳シーン、カメラワークも凄いが、演じている人は
もっと凄い・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=vWxD6RTgZbs
「半魚人の逆襲」 五十五年公開作
こちら前作が当たり、それではの第二作だが、こちらもお約束のものも
用意するが、それよりは「見世物」として金儲けをたくらむ・・・。
あちら怪獣・怪物は、この興行という目的が惨事を生むパターンが定着
っていうか、「キングコング」のパターン踏襲が失敗しない近道とでも思っ
ているのか、やはり「生け捕りにして」、何しろ水中にいるから「ダイナマイト」
で爆発させ、その音で気を失わせる作戦は、一度目の水中にもぐり武力で
捕まえようとしたら失敗したからって、そりゃ怪力が端から分かっているのに
そりゃねえよ、で、さすが半分魚だから、ぷかりと浮かんできてしまう・・・。
ほとんど仮死状態の半魚人を何とか人前に「見世物」として
出してみれば、例の如く「暴れまわり」そこを脱走・・・。
てっきりアマゾンにでも帰る帰巣本能はなく、いたく惚れ込んだ
女性への思慕の情が勝るから、都合よく居場所を突き止め、
再びかっさらいに、しかし今度は本土にての乱暴だから、軍隊まで
やはり「ファースト・レディー」の国の作り出すものは男であれば
とっても女性に優しいから、運び出しも「お姫様だっこ」が基本。
もしかしたら「人間になりたかった魚」の先取りか・・・。
もっともこの時代は、異端やら異形に対する畏怖とがない交ぜだ
から、最終的には「撃ち殺し」で、騒動に幕が下りてしまう。
にしても、この半魚人の造形はいいものだ。
想像上のものが、未知の生物としていてもおかしくないと思わせ
それがこんな形を納得させる。
もっとも性格が人間臭いのは、いや男臭いのは偏見かいな。
http://www.dailymotion.com/video/x7nuvq_yyyyyyyyyyshortcutclip_shortfilms
「海底大戦争」 六十六年公開作
日本の映画会社の中で、海外ものに対抗する、あるいは影響を受ける。
あるいは「真似てみる」のに長けたところに東映がある。
そして時代の流れから時代劇が尻つぼみから模索する中で、東宝が大映が
それぞれ怪獣ものを制作しても、こちらは児雷也という江戸時代の物語を
取上げて、日活もが松竹も怪獣を作り出したが、こだわりの時代劇に怪獣
として「大ガマ」やら「龍」を、大魔神の向こうを張って・・・、コケてしまうと、
今度は思い出したように「半魚人」を登場させて、作り上げたのがこの作品
なのだが、原題は大袈裟ずきて、英題の「ウォーター・サイボーグ」の方が
受けが良かったのでは・・・。
大戦争と銘打つと「地底人対地上人」という先読みが入り、見終われば「おい
おい、内輪もめが大戦争」って詐欺だぞ・・・。
はったりも営業手法の一つだが、そればかりだと見放される。
ただこのマッドドクターを登場させ、半魚人に人間を改造する発想は、海面
上昇が取りざたされ、海中に没する地では、水陸両性する生物は環境変化に
強くなる・・・。
と、冗談はさておいて潜水艦の性能試験で見た不審な生物の謎を新聞記者役の
千葉真一に金髪ねェちゃんとのコンビは度胸満点に真相を探るべく潜り出せば、
すわっと現われる「半魚人」に捕らえられ秘密基地に送られ、そこでの悪魔の研
究を目の当たりにする。
で、人間改造手術では、なにやら分からぬ内蔵を付け足したり・・・、ちょいとばかり
グロな映像もあり、だがしかし海底深いはずだが、小島の研究所と繋がっていたり
その研究所の所長は、外科治療も出来てしまうとか、とことんご都合主義で、一発
の魚雷で秘密基地は破壊され、人類は半魚人化の難を逃れることが出来た。
「めでたし・めでたし」という書いていても理解不能の物語でした。
それにしても「半魚人」という命名は、なんとも意味不明なのだが、それに違和感が
ないのはいかがしたものだろう。
アマゾンのインパクトがでかくて、すんなり納得してしまうが「魚と人間」、ワニと人間
よりリアルなのだから、片や笑いが起こり、片やクリチャーに同情的になる・・・。
人間もクリチャーも外見一つでが、見た目で判断のいけないところだけろど・・・。
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