秋の夜長、切なさ倍増し「恋しくて」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

 青春映画として、テーマに「片想い」を持ってくると、大概切なくそしてほんのり
 人恋しくなり、見終わった後は「共感出来る感情」で、同世代だったら特に思い入れ
 も強くなる。テーマの「片想い」というものに対する捉え方は年代によって様々だが
 それでもやはり「人を想う気持ち」、特に相手に気付かれることなく想いを募らせる
 感情は、普遍的な青春期のほろ苦さと共に、月日を重ねる毎に「逆に輝きを増して」
 戻れない時間の愛おしさが、その心に響いて・・・。

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 「恋しくて」 八十七年公開作

 この高校生の恋愛ドラマに「切ない気持ち」を一心に集め、観客特に女性の心を掴み
 取ったのは 男ぽく「友情」を育む女性の秘めた想いに感情移入してしまうからだろう。
 そんな切ない女心を誰でも理解して、単にアメリカの学園ドラマがより切ない恋愛映画
 になって 以後には、似たような設定のドラマが・・・。
 というか、下にある「片想い」のテレビ・ドラマの設定で、この映画を思い出したのだ
 が以前、 書いた記憶があったのだが、エントリーになかったか見落としたか・・・。
 それでもこんな女の子の設定は、感情が洗われ何だか新鮮な気持ちになるし、何より忘
 れていく 切ない胸の苦しみを甦らせて、ほんの少し自分の青春の軌跡に重ね合わせる。
 すると忘れかけた感情が・・・。
 そして何よりなのは、「片想い」という感情の持つ「優しさ」にこそ、普遍的人間性を
 見出せる。



「恋愛の方程式 片想い」 九十七年放送

 動画で見つけたテレビドラマだが、この展開は「恋しくて」が参考になったものなのだ
 ろうが、それでもこういった哀しくも切ない気持ちを持ちつつ、彼を応援する・・・。
 こういった性格を見せられると、純粋とか「ウブ」なんて言葉が思い浮かぶ。
 そしてやはり普遍的価値観として「片想い」には、輝きと切ない苦しみが人を成長させる。
 と、今ではそんな陳腐な言葉になったかもしれないが、感情や成長にはこういったものへの
 「憧れ」も大切だし、殺伐とした時代には「あっていい想い」ではないのだろうか・・・。
 以下には、そんなものの時代的変化はあれど、音に綴った想いを貼り付けてみた。





「かなわぬ恋」 アソシエイション
 邦題と歌の内容は若干違うのだが、旋律には「片想い」を滲ませる色を感じる。





 「片想い」 柴田淳




 「片思い」ジャングル・スマイル




「最高の片思い」タイナカサチ




 「ナオ」 HYコンフィデンス

 ここまではなかなかに聞いていて良かったものを貼り付けたが、最後は
 こんな曲を・・・。
 他サイトにあったものだが、それも引用して・・・。

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 「客を泣かす曲」 浜田省吾

浜田省吾は独特の歌い方、そして琴線に触れる詩が
特徴の息の長いソング・ライターである。
何より女の子に、深く煌びやかな思い出と感傷を滲ませて・・。




 「片想い」 浜田省吾

浜田省吾は「風を感じて」のレコードを友人が薦めていたので、
その時は憶えていたが、購買するまでの意欲はわかなかった。
それが幾年月、客嫌いの経営者になった店に、これまたいじめられ
にやってくる若者達の中に、浜田省吾のファンがいて、この「サンド・
キャッスル」のアルバムを貰った。
勿論それを店内で掛ける気はないが、開店前とか閉店後とかに、
何度か聴いていた。
コンサートに行った客達は「良かった」を連発するし、詩がいいと
絶賛する。もっともほとんど女の客だったが・・。
カセットにダビングして車で聴くうちに、なるほどと納得した。
これは詩だなぁと、納得する。
一編の詩の朗読に似て、心情を汲み取る詩を静かに聞けば、
それはぐっとくるだろう、感傷的な面持ちだったら余計に・・。
それを実証出来る場面が、やって来た。
「マスター、あそこの席の客、何だか暗いのよ、失恋でもしたのかな
ぽつりぽつり喋るの、注文聞くのに手間取るのって、やになる・・」
バイトに言われて、カウンターから首を伸ばした私は、そこのボックス
席の女の子同士のうなだれた姿を見て、やおら準備に取り掛かった。
照明の暗い店は午後八時を回って満席だったが、私にはその二人の
女の子にして上げられるサービスのつもりで、音楽を変えてみたかった。
やがてリチャード・クレイダーマンが終わり、めったに変えないレコード
を浜田省吾にした。
それも「片想い」の入っている面の方に・・。
「なっ、何をいきなり、こんな・・」
バイト達が私の気まぐれに、かなり驚いたような表情を見せた。
そして曲が進み、「片想い」が流れ出すと、ほとんど女客だけの空間は、
徐々にざわめきがなくなり、時折すすり泣きが聞えた。
「ああ、マスター、泣いてるよ、あそこの客・・」
私はいいことをしている気持ちが失せた。

  ああ、せめて一度だけでも、その愛しい腕の中で、
  ゛このまま傍にいて夜が明けるまで゛と
  泣けたなら・・

このアルバムは全曲、ラブ・バラードであり、浜田省吾の感性が、
より女性をひきつける詩に、そして歌い方にある。
何より題名が「砂の城」なのだから・・。
「マスター、食事が喉を通らなくなったみたいですよ、ほらっ」
バイトが皿を下げてきたのを見せる。
ほとんど残っていても、気分悪くなるでもなく飲み物をオーダーして
ここにいるのだから、店自体に嫌悪感はないみたいで安心した。
「思い出はさ、重い方が後で、美しくなるのさ、そう思えよ・・」
私は再びリチャード・クレイダーマンに変え、バイトを諭した。
「そんなもんですかね、ただの悪趣味だと思うけど・・」
と、ずばりと言ってのけたのに、私は負けた。
でも・・・、人生の一ページに、「私が失恋した時、友達に誘われて
入った店で「片想い」が流れた時は、泣けてきたわよ」と振り返ること
が出来るのであれば、その人の人生に彩りを添えたことになるな・・。

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秋から感じるのは、やはり夏という開放的な季節からの変化が、より
人恋しく感じる季節なのかも・・・。
そんなときは、やはりこんな感情にも共感が・・・。


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              といったところで、またのお越しを・・・。