日本の亡霊が取り憑く「ゴースト・イン・京都」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

ケビン・コナーという監督がいる。イギリス人でハマーの流れを汲むアミテスの映画を

何本か撮り、そのファンタジィーの題材が飽き足らないのか、はたまた要請に応えたか

ホラー映画も撮っている。

一本は「地獄のモーテル」そしてこの「ゴースト・イン・京都」という日本ロケのものである。



流浪の民の囁き-京都


http://www.youtube.com/watch?v=toIkqEpixv4&feature=related

「ゴースト・イン・京都」 予告編


http://www.youtube.com/watch?v=oFClYipM3fs

「ゴースト・イン・京都」 八十三年未公開作


主演はあのスーザン・ジョージ、今でいう「お馬鹿タレント」という言葉がぴったり来る

顔立ちで、その追い詰められた時や、恐怖に戦慄く表情が何ともピタリ来る女優だ。

「わらの犬」での新妻役での可憐であり、そして怯える表情に「か弱き者」とか、その

反対に「いじめ甲斐のありそうな女性」と、少し清純とかからはずれているのだが、気

になる存在・・・。

そのスーザンがここでも、取り憑かれて不倫を冒しとか、亡霊に怯えるとか、その得意

の叫びをあげ続ける。

と、まずはスーザンの出ている映画であるが見るきっかけだが、これがなかなかに外人

が見た日本という、これまでのトンデモでなく、ロケーションも確実に行い生活風土を忠実

に描いていて、これはこれでにんまり出来る・・・。

だが、外国人が訳アリ物件に住まい、そこがその昔、惨殺事件がそれも武士の時代・・・。

怖がらせる描写もダブルフイルムでの二重写しとか、そして何より亡霊の乗移った「カニ」

の登場には、怖がる叫びを見ながら「げらげら笑ってしまう」という、予期しないかはたまた

計算か、だれを防ぐ笑いも込め、にしても間男との対決がチャンバラ・・・。

これは黒沢明の映画の影響か・・・。

と、テイストがそこはかとなくB級が漂う・・・、それでも服部マコが亡霊でとか、スーザンの

悲鳴とか作品の出来でなく楽しめる・・・。で、この監督がケビン・コナーなる人。

よくよく考えてみたら、この監督作はかなり見ていて、やっぱりB級愛好家を再認識・・・。




流浪の民の囁き-モーテル


http://www.youtube.com/watch?v=k4AR3BgaCdA

「地獄のモーテル」 八十一年公開作


「悪魔のいけにえ」がヒットすれば、亜流は即座に溢れてくる。

これもそんなテイストがとっぷりと楽しめる。

「悪魔の沼」に似た・・・、いやいやケビン・コナーの小道具とか間をダレさせない

演出は、ここでもそれなりに笑いも取り、そして恐怖も格調低く観客に与える。

物語は、鄙びた田舎の一軒のモーテル、そこを経営する中年の兄妹・・・。

たっぷりここらで「どこかに転がっていた出来事」をなぞる。

ただ脚本が捻りを咥えたと自分は思っているのか、犠牲者を首だけ出して畑に埋

めて喉を掻っ切り、声の出ないようにして人頭畑に、そしてどう頃あいなのかは定

かではないが、製品製造に大根よろしくひっこく抜く、それもトラクターで引っこ抜く

ここらはサービス精神で残酷をアピールだが、この映画、脚本とかでなくこの兄妹

その妹の強烈なキャラクターこそが、堂々恐怖の源、笑い顔も声も・・・。

後は小道具と被り物のチンケさが鼻につく出来・・・。

しかし妹中心に見ると、それなりに飽きずに見ていられる。

この映画の良かった点は、この妹のキャスティングに尽きる。

チェンソー・バトルも早くも取り入れてなのだが、なんとも間が抜けて緊迫感を味わ

えない。やっぱり女の存在は、それも「基地害」という当て字にする性格が、最大の

ホラーであった。

このケビン・コナーものでは、今後もエントリーを書いていくと・・・。思う予定。


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Amazon.co.jp                といったところで、またのお越しを・・・。