先人の礎が今日の大統領を生んだ「グローリー」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

黒人初のとかううたらこうたらと、海の向こうの新しい大統領に対して、話題がないのか

ニュース・バラエティ番組は盛んに取上げているが、突如として大統領候補になって、

そのままトントン拍子で、駆け上がったものではなく、名もなくそしてひっそりと死んでいった

多くの人々の地道な努力の上に、国民の賛同が得られたものであり、といって経験不足から

いつ国民からのいや、マスコミからのバッシングに遭うかも分からない。

それでもその昔、アフリカ大陸から「奴隷」としてつれてこられた黒人が、積み重ねた歳月

から市民権を得て・・・。

そんな時、アメリカを二分する争い「南北戦争」だが、奴隷の生活から逃れ「解放」のために

軍隊に応募した名もなき黒人達の「悲惨だが誇りある戦い」を描いた「グローリー」を見ている

と、こういった先人の犠牲の上に、今があるを実感させてくれる。



流浪の民の囁き-グローリージャ


http://jp.youtube.com/watch?v=Z2c_BvVBd-Q

「グローリー」 九十年公開作


南北戦争を描いた作品は多いが、北軍の黒人部隊に付いて描いたものは

見たことがなかった。

この軍隊応募の黒人達も、そしてそれを指揮する白人も互いに戸惑い、しかし

「戦いには勝たなくてはならない」の思いで、徐々に結束して行く姿は、なかなかに

魅せてくれる。

モーガン・フリーマンやデンゼル・ワシントンなどの芸達者を配して、二枚目なんだが

少し頼りなげな司令官役のマシュー・ブロデックをサポートしていた。



流浪の民の囁き-グローリー


この画像の場面は、最後の戦いというか、この黒人五十四連隊の「全滅覚悟」の先陣を

受け持つ何とか砦攻撃の前のものだと思うが、この指揮官も死を覚悟して、まして兵も

あまりの不利な状況なのに、士気は高いというところを描いている。

良く戦争を美化しているとか、という批判をこういった戦争ものには散見出来るものもあるが

美化しているのは戦争でなく、死を感じながらも、そこに価値と誇りを持つ人々が先人には

いた。・・・という敬いの気持ちが死を前にして、その姿は「美しい」と描いてやらなかったら、

「犬死をしたのか」という思いが浮かんできてしまう。

もっとも「勝つ」戦いと、破れてなおという生き死に対して、戦争を美化するでなく死に行く者を

美化してやらなければ、ならないと思う次第だ。

そしてこの黒人初の部隊は指揮官をはじめ、全滅の憂き目に遭っている・・・。

しかしそのことがかえって世論を動かし、これ以後黒人部隊は増えていき、南軍との戦いにお

いて戦果をあげることはなかったが、黒人に対する気持ちが良好になって行ったのはこの犠牲

があったからだろう。もっとも破れた南軍は、以後も黒人差別が続いて行き、黒人が公民権を

受けるのに相当な期間を経なければならなかったが、そこでもキング牧師みたいな人が、名も

知られぬこういった黒人の犠牲の上にたって、先人への尊敬も側面にはあって運動が続いて

いったとも考えられる・・・。

戦争に於いての罪悪は敵味方どちらにもあり、それを美化することは出来ないが、犠牲になった

者の死を悼み、それを気持ちの上でもち続けることは、先人への感謝であろう・・・。


グローリー [DVD]
¥1,733
Amazon.co.jp               といったところで、またのお越しを・・・。