これは純粋なボクシング映画ではなく、無実の罪を着せられたボクサーの人生を掛けた戦いの
物語で、試合でもバイタリティー溢れるファイトを見せるが、獄中でも己の「名誉」のため、戦い続
けた不屈の闘志をグローブからペンに持ち替えて・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=tsmszHWnO3k
「ハリケーン」 九十九年公開作
主人公のボクサーはルービン・ハリケーン・カーター、ウェルター級のチャンプで、向かうところ敵なし
状態から一転、殺人罪で起訴され有罪を言い渡される。「冤罪」だが証明する術もなく、だが「無実」
である抵抗は獄中でも貫き通し、そしてより主張しようとペンを持つ、この場合、タイプライターに向かう
というのが正しいが、それを一冊の本として出版・・・。本を書くというのもなかなか出来る技ではない。
粗暴で粗野な野蛮人的取扱いが、ボクサー上がりに多くて偏見も垣間見れるのは、偽証や捏造された
証拠に対して、陪審員達がバイアスを自然に掛けられ、評決は有罪と相成ってしまう事象に良く現れている。
主演のデンゼル・ワシントンも良く演じているのだが、ここでは出版された当初は話題になったが、その後
古本屋でこの本を購入し、感銘を受ける少年役の黒人がなかなかに演じていて、こちらの方が印象に残った。
ストーリーは、ちょっとばかり博愛主義的コミニティの人々が、この黒人少年の訴えに賛同し、調べなおす
そして妨害を受けながらも、無実である根拠を丹念に、また偽証や捏造も暴いていく・・・。
と、カナダ人の博愛の精神の強さも光らせて、無罪を勝ち取るまでを描いていた。
自伝の出版、それを中古になってから、そう十年の歳月が流れていても、少年にすれば憧憬の対象となる
ボクサー・・・、感じ取れる純粋さがハンサムからは遠い黒人少年に愛着を感じてしまう原因か。
再審の判事がロッド・スタイガーで、無罪を言い渡すものだが、あの「夜の大捜査線」の警官役からすると
にやりと笑ってしまう差別問題も孕んでいて、少々重い映画であった。
で、ボクサーの冤罪といえば、日本でも戦っているボクサーがいる。
「袴田巌」死刑囚である。
http://www.h3.dion.ne.jp/~hakamada/
「無実の死刑囚 袴田巌」 袴田事件
こちらは「ハリケーン」のような展開もなく、今だ獄中で・・・。
そして思うに、マスコミ報道の仕方に元プロボクサーという肩書きを常に背負わされ、
というか犯罪を犯した時の報道には、大概においてその呼称を使いたがるが、それが
より偏見や差別的言動に読者を追い込んでいっているのを感じることがあるのだろうか。
まぁ、ないから延々と続けていられるもので、これが通名報道と相通じるマスコミのいか
がわしく、信用失墜の原因の一つでもある。
抗議が凄ければ、へたれな対応になり、抗議が゛なければいいように書く、あるいは放送
してしまう。
だからあんなへんてころりんなボクサーまで話題になり、批判を浴びれば「ヨイショ」に余
念がなくなり、醜い報道でも風見鶏よろしく、持ち上げまくる・・・。
「真実は負けるはずがない」
何についてもそうあってほしいものだ。
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- 連日続けたボクシング関連の記事で、今年はブログを
- 閉じることにします。
- 読んで下さる皆様、「良いお年をお迎え下さい」
- 来年は一月三日あたりから更新致します。
- ではでは、風邪などひきませんように・・・。
- といったところで、またのお越しを・・・。


