感情移入させてくれる二次元ヒーローもの「ボクシング・アニメ・漫画」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

実際の人物の物語もそれなりに見ごたえがあったり、感銘を受けたりするものだが、それが

二次元の世界でもそれぞれ記憶に残るボクサーというものがいる・・・。




流浪の民の囁き-明日の


http://jp.youtube.com/watch?v=VemWSTCVNp0&feature=related

「あしたのジョー」 ちばてつや著


日本のボクシング漫画で最初に名が上がるのがこれだろう。

ボクサーの生い立ちに暗い影が映るのは、殴る行為を公然と行えるスポーツとして捉え

やはり粗暴で粗野な人物が、四角いジャングルで獣のように争う、そのイメージの定着と

やはり興行としての裏の駆け引きが、スポーツ・マインド的には少しばかりマイナス・イメージ

となってしまう。元来の人間の闘争本能から行けば、がむしゃらな戦いにテクニックという思考

が入り込み、実際は芸術といってもいい一瞬の輝きが・・・、その刹那のボクサーの姿は美しい

ものだが、コンマ何秒の輝きとひらめきに、その一瞬に生涯をかけるは、なかなか理解される

ものでもない。ただ「燃え尽きる」というこのシーンは、憧れが付きまとう哀しく美しいシーンと

なった。



流浪の民の囁き-がんばれ

http://jp.youtube.com/watch?v=i-MK5qf04H0&feature=related

「がんばれ元気」  小山ゆう著


漫画で「泣く」という失態を演じさせてくれた唯一のボクシング漫画。

親子鷹というより、この場合シャーク堀口の戦い方に涙を禁じえない。

社会的には最底辺のあぶれ者、それを何の疑いももたずただただ憧れる

「元気」のそのまっすぐな心情と、それに応えようとするシャーク堀口の戦い

昨日の「シンデレラマン」も、この漫画を参考にすれば、もう少しボクシングシーン

で感動をしたことだろう。

あの「遊園地」での無邪気な元気が、とても哀しい・・・。



流浪の民の囁き-はじめ

http://jp.youtube.com/watch?v=lG8_s4IekhE&feature=related

「はじめの一歩」 森川ジョージ著


こちらはいじめられっ子が、「強くなりたい」でボクシングを始めるという、

スタートから努力につぐ努力とか、丹念に描いてものだが、長い連載となると

少しばかりマンネリ気味かなってな気持ちも・・・。

ただ、主人公達への作者の愛情が良くわかる、群像にも心配るヒューマンな

物語となっていて、これが終るのがいつになる。

いや最終的には一歩対宮田一郎・・・。



流浪の民の囁き-タフネス

「タフネス大地」 大和田夏希著


こちらコミカルで、底抜けに明るく抜けているキャラクターだが、不器用なりに

懸命にボクサーとなって行く「大地」の有様が、とても楽しくまた展開が面白かった

ものであるが、いつの間にか打ち切りになり、中途半端なまま・・・。

作者は亡くなっているので、完結することはないが、とても惜しい・・・。


流浪の民の囁き-mub


「モナコの空へ」 野部利雄著


この漫画の前もラブコメ風のボクシング作品があったが、その失敗を危うく

踏むところで、さっさ終えてしてしまったのは、さていいのやら・・・。



流浪の民の囁き-太郎


「太郎」 細野不二彦著


銀行マンがボクサーという異色な作品で、その根底に流れる反発心とか

庶民目線とか、漫画自体は見づらいが、作者のボクシングに対する愛情を

感じる。挫折からの脱却とか、示唆に富むストーリーをサイドに据えて、なか

なかに読み応えがある。




流浪の民の囁き-一ポンド


「一ポンドの福音」 高橋留美子著


実写でのテレビ化された作品だが、見たことがない。

で、テレビ自体もジャリタレ、もといジャニタレ売込みのための作品

では、どうでもよくなってしまう。



流浪の民の囁き-セコンド


「セコンド」 井上泰樹著


この作品は異色だった。

ボクサーが主人公でなく、トレーナーがそれも「おっさん」のベテラントレーナー

を真ん中にすえて、ボクサーへのとか減量の過酷さとか、裏方から見たボクサー

群に対する愛情が溢れたものとなっている。



流浪の民の囁き-セコンド


こういった作品を、若者向けの雑誌に連載したのはいいのか悪いのか

分からないが、短い連載で終っているところからすれば、良質でも地味な

ものに対する評価は、「売れて何ぼ」な世界では、短命になってしまっても

仕方が無い。だが、この作品のモデルとされるトレーナーの父親にも似た

愛情とはどこのジムのトレーナーでも程度の差はあれ、ボクサーには大成

して貰いたいし、試合は勝って欲しいと顔に出さずとも、思っているところだろう。

丹下段兵と矢吹ジョー、幕乃内一歩と鴨川源吉・・・、そして教わることを拒否した

元気・・・、この場合は父の教えが絶対・・・、この信頼関係がボクサーを強くする。

「ミリオンダラー・ベィビー」のクリント・イーストウッドが見事に演じていた・・・。


で、昨日の「シンデレラマン」だが、憎まれ役にしてしまったチャンピオンだが、殺し

たとかだけを強調していたが、実際は亡くなった対戦相手ボクサーの子息に援助金

を送り、贖罪を負っていたのだ。あの場面でもうあの映画は陳腐なものに・・・。

それについて「不慮の事故」である試合後の死亡では、日本でもまたアメノリカでも

対戦相手となったボクサーは、後々も恐ろしい贖罪意識と戦っている・・・。

で、それを書いたものを引用。


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かつて「名城」と同じ思いで、リングに上がった男がアメリカにいた・・・


トリプル・タイトルマッチの初っ端で名城が登場した。
不器用なスタイルと、ごッつい顔立ちのチャンピオンは、相手のスピードに
翻弄され、「ど突き合い」のパンチは空を切り、思いだけが空回り・・・。

昨日の試合は贔屓目に見ても「完敗」だった。序盤こそ狙いどうりカウン
ター気味の右ストレートがヒットしていたが、中盤から終盤においては、
スピードの差に空振りが目立ってしまった。
切れのあるパンチは威力がそれ程なくとも徐々に相手にダメージを蓄積
させていき、正確なパンチを相手から奪っていく。
名城の終盤のパンチの弱さは、それを如実に物語っていた。
序盤の畳掛けが、もう少し強烈であればあるいはと、思わせる場面は
あったし、相手のパンチ力を奪い、もう少し得意の泥仕合に持ち込めた
のではないだろうか。
すれば名城の背負った思いが、後押ししてもう少し善戦したかも・・・。
名城の出来事で、私は昔のボクサーを思い出した。といっても伝記の中
の人だが・・。名をエザート・チャールズと言う黒人ボクサーである。
デビューはライトヘビィー級であり、二十連勝を記録してもアメリカではヘ
ビィー級以外、それ程注目を集めないが「シンシナティのコブラ」のあだ名
はそれなりに拡がっていき、妻も娶って順風満帆な生活を送っていくが、
ある日の試合で、対戦相手が試合後、脳内出血で亡くなる事故に見舞わ
れる。その試合は、倒し倒され、相手は七度、エザートも三度ダウンする
という激しい試合だった。
まさに名城の日本タイトルマッチの「田中聖二」との試合結果と同じだ。
エザートもそのショックで一時、ボクサーを辞めているが、相手方の父親の
説得もあり、また相手方への興行収益をプレゼントするために、再びリング
に上がり、見事なカクバックを果たし、以後階級をヘビィー級にしていく。
それは亡くなった対戦相手が、戦前語った「ジョー・ルイスを倒してヘビィー
級チャンピオン」の夢を自身の夢としたからだ。
ちなみにこの時代は1942年である。お分かりだろうか、そう戦争中なのであ
る。戦中でもボクシングをしているあるいは観戦している余裕のある国と、国
民一丸となって「贅沢は敵だ」で戦わなければならない国力の違いは、如何
ともしがたい差を痛感させられる。
ただエザートも戦争が激しくなるつれ、兵役に取られある程度のブランクを経
験し、復員後ヘビィー級に階級を上げ、亡くなった友の夢に邁進しはじめる。
しかしここで誤算が生じる。自身の体の変調だ。しかしエザートはそれを隠し
リングに上がり続ける。もっとも目標としていた偉大なチャンピオン、ジョー・
ルイスは十二年間無敗のまま引退してしまう。
それに少しショックを受けつつも、エザートは空位になった王座をジョージ・ウ
オルコットと争いに、見事チャンピオンとなる。そして一年後、倒したかった無
敗のチャンピオン「ジョー・ルイス」が復帰してくる。
この試合はあのヤンキー・スタジアムに五万人を集めて行われた。
「褐色の爆撃機」あるいは「黒人大使」と慕われる、挑戦者のジョーの人気の
証みたいな人出である。
試合はジョーの強さが光り、エザートは圧倒的に劣勢のままラウンドが続い
ていき、幾度となくダウンさせられるがその度、立ち上がる姿に徐々に観客も
エザートへの声援が増えていく。しかし・・・。セコンドは諦めかけタオルを投げ
入れようと構えるが、リング・サイドにやって来た妻がそれを阻止して、エザー
トを励ます。
勿論妻はエザートの病気も知っているが、あえて本人の意思を従順に守る。
そして十二ラウンド、エザートは初めてジョーからダウンを奪う。
以後もまるで鬼神のごとく挑みかかり、判定で防衛を果たす。
エザートはこの時、初めてチャンピオンになった喜びをかみしめる。
それは友の夢の実現だったからだ。
このエザートは自身の病を押して戦ったものだが、それは「死なせてしまった
懺悔」が大きく拘わってくるし、性格の善さが後々「職業訓練校」を作るまで
になる。その功績なのだろう、1974年に働けなくなったエザートを救おうと歴
代のチャンピオンを始め、多くの関係を集め救済パーティが開かれている。
その甲斐もなくエザートは翌年、息を引き取っているのだが・・。
名城も大きな十字架を負ってしまったが、今回の敗戦後「引退」はなく、続行
するとの意思表明があったし、頑張って貰いたいものだ。
ボクシングスタイルは良くないが、序盤に見せた右ストレートとタイミングの良
い左フックはキラリ光るものがあった。
何よりあの亀田みたいな、思惑選考の人選でないボクシング・マッチはいい。
亀田次男の試合も見たが、相変わらずスパーリングをしていた。
あんなものよりは、負けてしまったが名城のファイトの方が感銘を受ける。
トリプルマッチの他ニ試合は、とても書く気になれないファイトであった。


                        最後まで読んでくれて「ありがとう」

http://erath0515.at.webry.info/200705/article_4.html
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と、まぁ、リング上での出来事が、以後に残らないはずもなく第一、ボクサーにそんな

粗野で野蛮で冷酷な人間はいない。

その一点だけでも、やはり描く手法が、いや脚本が失敗したからと・・・。

どうにも、ボクサーをああいう描き方でして欲しくなかったので、追加した。

もっとも「何でもあり」のインチキ・ボクサーは日本にもいるが・・・。

がんばれ元気 BOX
¥33,075                   といったところで、またのお越しを・・・。