アメリカのトラック野郎「コンボイ」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

この映画、サム・ペキンパーの監督作品なのだが、ペキンパー的に言えば「やっつけ仕事」

という力の抜きようが、しかし面白いものでヒットしてしまう。

監督の思惑と観客の求めている作品の質が噛みあわない好例かも・・・。





流浪の民の囁き-コンボイ

http://jp.youtube.com/watch?v=xdc0Oq1VwH4

「コンボイ」 七十八年公開作


サム・ペキンパーの暴力描写の凄まじさを体感している人にとっては、

少しずれる感覚がある作品。

これ前作「ビリー・ザ・キッド」でも、どこか気が抜けた感じがあったが、

こちらは脚本の練りも今一で、娯楽作品としては面白いのだが「暴力美学」

の域は霞んで、権力者対法規を守らぬものの対立と、有り触れた設定が

法規を守らない者達への一般市民の喝采を浴びる・・・。

あの「バニシング・ポイント」あたりと似通ったロード・ムービー。

ただ「激突」で観客に恐怖を与えた大型トラックの暴走と、トラック野朗の団

結心に、判官びいきが起きて、一面「自由」を求めたトラックみたいに、官憲

の横暴に対して抗議的行動をとる・・・。

主演はクリス・クリフトファーソン、その他出ているのも名の知れた者たち。

なのだが、どこかにあった物語・・・、そう菅原文太の「トラック野朗」だ。

まぁ、スケールが違って、走る姿は勇壮で迫力もあり「格好いい」、そして無軌

道に人生を送るドライバー、そこに「コンボイ」の唄が重なり、アメリカらしい粗雑

だがカントリー、アメリカの田舎道を疾走するトラックには、やはりその昔の西部

劇的雰囲気があり、そこから抜け出せない・・・。

面白さの真髄は、やはり西部劇のもので、対決する一台のトラック対戦車を交え

た警官隊、ここらでペキンパーの乱射が見られて、そして対立する警察のボスが

あのアーネスト・ボーグナインとなれば、対立場面は面白いし、その後のラストシー

ンはお約束の笑いでと、物のぶっ壊しの爽快感と、死なない主人公の高笑いに

警察のボスの大笑いが被さって、あの騒動はなんだったのか・・・。

いいじゃねえか、人が死なないけどぶっ壊しはあったし、官憲に立て付く不死身の

男・・・、それがトラックの護送船団「コンボイ」ってものよ・・・。


さて、この映画のようにガソリンを気にすることなく爆走を繰り返すのも、今現在では

甚だ出来そうもない状況にアメリカは陥ったが、この大型トラックの隊列を組む走行

は見ごたえがある。それこそ「大きいことはいいことだ」を体現している。

コンボイ (ユニバーサル・ザ・ベスト)
¥1,620                        といったところで、またのお越しを・・・。