転落人生を鮮やかに描いた「嫌われ松子の一生」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

実際にその人の人生を、文字や出来事で追っていけば、もろ悲惨の一言で

かける言葉が見つからないとなりそうな境遇を、健気に生き抜きそして人知れず

終の寂しい姿を晒して、見ている人に「生きていく」という原則的な原点を派手な

演出や音楽で華やかに彩り考えさせる映画が「嫌われ松子の一生」ではなかったか・・・。



嫌われ


http://jp.youtube.com/watch?v=WWsR7W4VIx8&feature=related

「嫌われ松子の一生」  〇六年公開作


幼い頃の「夢」から、教員者となってからの完全な転落人生を、ミュージカル仕立てにした

演出で、これまでの日本の映画の描き方では、もろ悲惨な自虐的な暗い映像になっても

その境遇は理解出来るものを、派手な映像にしながら数分の内に観客に理解させる演出は

たいしたもので、たるみのない仕上がりで、進行を引っ張っていって、主人公の「松子」に対

する観客の感情移入をしやすくする手法は、演出の秀逸さの賜物だが、ただこの監督の映像

は「下妻物語」の特異な二人のキャラクター対比とかでは、服装を含めて対立軸が描き易い

こともあって、映画がまとまっていた。だが、こちらは昭和の苦労話である。

その点を鑑みれば、ミュージカル風に仕立てていても、昭和の香りの方が観客にアピールして

しまう。当時のヒット歌謡を持ってくれば、観客はそちらにより印象強く、この映画の記憶にとど

めてしまう。

不幸話を力業で、さらりと描いてもやはり上っ面的印象もぬぐえなくなる。

その点では、この題材は少々荷の思い作品ではないだろうか・・・。


http://jp.youtube.com/watch?v=V5tGR18zsko

「エンド・クレジット」

ここではサービス・ショット宜しく、場面場面をフラッシュさせていて、それにそれぞれの歌を絡めて

最後まで愉しむサービスに徹していて、観客は席を立たないだろうが、少し不満なエンディング

という印象をもつ、何よりこの主人公は何もいいことがない女である。

そしてそれについて後ろ向きな姿勢を持たない気丈さも爛漫さを持ち合わせている。

そんな女を主人公にしたのなら、下の中島みゆきの曲をラストに流し、それまでの印象とちがって

男に騙され続けているにしても、微笑みながらそれも受け止める女として、「恋の遍路」をそれも

結末は達成されぬままの、「遍路」がベストで、観客もより以上に主人公に肩入れするし、何より

映画の派手で明るい印象と、静かに自分を見つめる優しい時間の過ごし方と、派手な演出と地味な

エンディングの落差が、人を惹き付けたと思うものだ・・・。

http://jp.youtube.com/watch?v=iMM8a5ullvA

「遍路」 中島みゆき


この映像は「草津温泉」のもので、少々歌のイメージとはあっていないが、投稿してくださった

だけでも感謝である。

中島みゆきの素直な歌い方が、とても心に響いて、過ちを繰り返しながら、またすがりつくの

繰り返し・・・。

既存の音楽でも、その映画を印象付けるのには、もってこいだと思うけど・・・。

何しろ設定が昭和である。

中島みゆき/あ・り・が・と・う
¥2,835                            といったところで、またのお越しを・・・。