人間の業の深さは惨劇を生む「血みどろの入江」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

遺産相続・・・、これの争いは「骨肉」と他の争いと異なって、肉親同士のいがみ合いと欲望

剥き出しの分捕り合戦に終始すると、それまでの家族愛やファミリー的繋がりはなんだった

のかと、傍から見ていても「醜い争い」と見られるものだが、それをソウルのキングと呼ばれた

ジェームス・ブラウンの遺族がとなると、はてさて音楽ファンにすれば、「故人も貶されている」

みたいで、暗い気持ちになってしまう・・・。


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 2006年に73歳で亡くなった伝説のソウル・シンガー、ジェームス・ブラウンの遺産を巡って、
トミー・レイ・ブラウン夫人とブラウンの6人の子供の間で繰り広げられていた相続問題に
裁判所が決定を下し、争いが決着することとなった。
 〈AP通信〉が伝えるところによると、遺産の4分の1がレイ夫人とその息子に、さらに
4分の1が6人の子供にそれぞれ分配され、残りの2分の1はチャリティー目的の信託財産と
なるという。この判決に対し、レイ夫人は「とても安心した。うれしく思う」とし、ブラウンの
娘であるディアンナ・ブラウンも「大変だったが神様に感謝したい」とそれぞれ判決を
受け入れるコメントを発表しており、相続問題は終結をしたとみられている。
 〈ゴッドファーザー・オブ・ソウル〉として知られ、その長い音楽人生で多くのヒットを
記録したジェームス・ブラウンだが、実際の遺産としては多くの現金は残しておらず、
その大部分は、彼の作品の版権とこれから発生する印税であるとされている。
bounce.com
http://www.bounce.com/news/daily.php/19786
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遺産相続を裁判で争いでも「何とかならなかったのか」という思いはしてしまう。

何しろ財産といっても、故人の著作物や版権となれば、才能の価値とも取れる。

それが一切、それらによって養われた者達が争うとなってくれば・・・。


で、こんな「遺産相続争い」の親族の醜さを、人間の業として「ホラー」に仕立てていたのが

マリオ・バーヴァの「血みどろの入江」だろう。

こちらは欲望と醜さからの「殺し合い」と過激になって行き、その過程が後の「ホラー映画」に

多大な影響を与えた・・・。


流浪の民の囁き


http://jp.youtube.com/watch?v=rZs1Af1kbNw

「血みどろの入江」 七十年公開作


これまでのゴシック・ホラーの格調は微塵もなく、以後に続く残虐な殺害

方法とか、サスペンスの手法をとりながら、結果的にはそれへの盛り上が

りはなく、欲望に滾る人間の業が、残酷極まる殺害へと向かわせる。

と、人間の欲に対する非道の仕業が繰り広げられ、ホラーの心理的恐怖

よりは、その惨殺映像によって、人間の業の深さを描ききっている・・・。



流浪の民の囁き


で、この映画には画像のクロディーヌ・オージェも出ていて、というか見たのも

監督でなく、この女優の出演クレジットから興味を抱いてなのだが、流石に「ジ

ェームス・ボンド」の時の様な色気を醸すものでなく、その業にまみれる強欲な

人妻を演じていて、出る映画によってはその評価もとんと変わるものである。

流浪の民の囁き


この物語、莫大な避暑地の開発を進めるオーナーが何者かに殺されて・・・。

その避暑地の土地の相続に、強烈なキャラクターの者達が、強欲剥き出しで

「相続」の独り占めに躍起となる・・・。

何者かによって殺されたが、サスペンス的始まりながら、そんなものはすぐに

判明して、後は強烈なキャラクター達の「殺し合い」へと移って行く・・・。

流浪の民の囁き


その惨殺の場面の一部が、上の映像だが、「男と女の串刺し」と、何しろ場面は

どうしたって男と女の甘いベット・シーン、そこにいきなり「串刺し」だもの。

「ひゃっ」の声が漏れる・・・。このショッキングなシーンのインパクトが「十三日の

金曜日」に見事にパクられ、・・・っていうか、この映画のアイデアをそのままアメリカ

のキャンプ地での惨劇に転用すれば・・・、こういったアイデア参考というか、後から

見直されるが、にしても惨殺場面のオンパレードは刺激そのものだが、唯一生き残る

夫婦のラストには、「因果応報」のことわざをやはり思い出す、皮肉な結果になってい

て、「馬鹿は死ななけれリゃ、分からない」は世界共通なんだ・・・。


で、見た目的はクローディーヌ・ロジェなので、折角なので海外サイトで拾い集めた

画像と共に、ちょっくらロジェの出ている他の作品・・・。


流浪の民の囁き-オージェ


ミス・フランスとなってデビュー後〇〇7シリーズの一本「サンダーボール作戦」のイクパクト

は大き過ぎたのか、このベスタのイメージガールなども務めていたらしいが、映画的には、

どうも悪女的役が多かったように思う。


流浪の民の囁き


http://www.youtube.com/watch?v=XI2Ajn2SWFg&feature=related

「タランチュラ」 六十七年公開作


これは題名だとパニック映画みたいだが、殺しの仕方が特徴的な殺戮方法

の、妖艶な女優陣による「エロチック・サスペンス」もの。



流浪の民の囁き

http://www.youtube.com/watch?v=2DGDt1keSS0&feature=PlayList&p=A6999B6845116998&playnext=1&playnext_from=PL&index=2

「トリプル・クロス」 六十七年公開作


この戦争映画にも、レジスタンスの女戦士として出演しているのだが、

戦争だけに男が主役、クリストファ・プラマーの二重スパイと、ユリ・ブリンナー

のドイツ将校の「諜報戦」てなもので、後はロミー・シュナイダーやゲルト・フレーベ

となってくると、やはり影は薄くなる・・・。


流浪の民の囁き

http://www.youtube.com/watch?v=aUhuoSNR0GY&feature=related

「サンダーボール作戦」 六十五年公開作


悪女の「綺麗な薔薇には棘がある」を体現しているかの様な肢体・・・。

で、またもホクロだよ、ホクロのあるなしでってのもなんだが、それでも

女優というより「刺身のつま」的な存在が一番、輝いている気がする。

結局、ジェームス・ボンドの面白さの添え物的・・・。


と、「血みどろの入江」から、ジェームス・ボンドまで反れて来ると、

第一、書き出しは「遺産相続」だってえのに・・・。

   まぁ、はちゃめちゃは、いつものことで、ご愛嬌と・・・。


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Amazon.co.jp                        といったところで、またのお越しを・・・。