悲恋を音楽が格調高くした「みじかくも美しく燃え」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

映画音楽に既成のクラシック音楽を持ってきて、その旋律の格調の高さと

映像の美しさで魅せる映画というものがあり、中世ヨーロッパの格式とクラ

シックが良く調和し、特に悲劇的ストーリーには、後々までそのイメージが

曲のイメージに被さり、忘れられなくなる・・・。

そんな映画に「短くも美しく燃え」は入る作品だろう。



みじかくも

http://jp.youtube.com/watch?v=fUmYiyjnJuk

「みじかくも美しく燃え」  六十七年公開作


悲劇的ラスト・シーンへの道程は、北欧の美しい田園と屈託なく笑う儚げで金色の髪の若い娘

と脱走を図った中年の髭男の悲恋・・・。

簡単に要約すれば「公爵の位のある妻子もちが一目ぼれした、サーカス団の娘との逃避行の

果てに待っている、予想した結末」が、クラシックの旋律にのって美しく描かれる「ひと夏の恋」

のお話しである。

ただこの映画が印象に残るのは、主人公のサーカス団の娘役を演じたピア・デゲルマルクの

清楚であり穢れない笑顔と金色の髪に、バックに流れるモーツァルトの存在感に尽きるのでは

ないだろうか。

今では有り触れた不倫の果ての悲劇的な物語だが、上のように言ってしまえば、後は書くことも

なくなってくるものだが、それでは折角、取上げたスウェーデンの稀有な女性に対して失礼、なん

ていってるのでなく、要するに当時の若さと共に、この女性の立居振舞が成長期のこちらにやたら

衝撃を与えた・・・。

年が分かるが、これを見たのは中学でなかったかと思うが、スクリーンを見詰め、こんな女性がい

るのか、それも役とは分かっていても、なんとも醜い嫉妬や我儘もなく、たおやかな笑顔を向けて

悲惨な最期へと不安を募らせながら、運命を受け入れる。

男性にとって、いや日本人でもこんな性格の女性とだったら恋がしたい、と憧れが強くなった。

要するに映画で「スクリーンに恋する」ニキビ面ってな、ところでありんす。

だから級友にも、盛んにこの女優の話しを熱く語った思い出が、甦ってくる・・・。
短くも
http://jp.youtube.com/watch?v=df-eLzao63I&feature=related

「モーツァルト」 ピアノ協奏曲二十一番


リンクしている映像のものは、投稿者の趣味なのだろう。ロックの曲にこの映像という

こちらにすれば、かなりがっかりするもの。

やはり、この女性にはモーツァルトの緩やかでまったりくる旋律の方がぴたりと来る

ので、楽曲のみのものを追加でリンクしました・・・。


「いい男は結婚している」なんて、外国人の女性の本を読んだことがあるが、まぁ自己

弁護もあって、結婚したい男がたまたま結婚していたんだから、「仕方ないじゃない」

の詭弁とも取れるものだが、夢中になれる、恋出来る男性をシビアにみれば、不倫も

仕方ない。で今日の一曲にもリンクした「水鏡」みたいな哀しい思いを繰り返す・・・。

と、男女の仲は小説より奇なりってなことで・・・。

実際にあった事件を映画にしているが、こんなに楽しげで、互いの気持ちに誠実で

そして何より、贖罪意識はどうなのだろう・・・。

にしても、クラシックの旋律が、心豊かにゆったりさせてくれるのを、この映画から知っ

ただけでも、なんともいえず名作ではないだろうか・・・。なんてね

みじかくも美しく燃え/ピア・デゲルマルク
¥4,687
Amazon.co.jp                      といったところで、またのお越しを・・・。