オリンピック惨劇の後日談「ミュンヘン」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

北京オリンピックも近づいている。

そして開催国は、大震災が起こる前までは「チベット迫害」で世界中から非難を浴びて

独裁国家らしい方法で、それらの「たいまつリレー」抗議や妨害を留学生という逆らえない

立場の若者を駆り立て「偏狭のナショナリズム」を日本を始めリレー開催地で繰り広げたが

それが逆に、世界の目から見れば「恐ろしい国」として映ったものだった。

それが震災で、その批判もチベットの運動も沙汰ヤミみたいになったが、不満は燻ったまま

である。

そしてオリンピックという平和の祭典で、「血の惨劇」が起こったのが七十二年の「ミュンヘン」

である。あの時は西ドイツでイスラエル・パレスチナであったが、今回は中国の一応の領土と

している地での侵略を受けた国が・・・。



ミュンヘン


http://jp.youtube.com/watch?v=TxU6rp9VFGA

「ミュンヘン」 〇六年公開作


イスラエル・パレスチナの紛争はとても長い、だけに憎しみは世代を越えて続いている。

エルサレムという場所に流浪の民が行き着き建国、しかし今度は元々あったパレスチナ

人が国を持たない流浪の民になりと、憎悪の連鎖は断ち切れない。

そして何よりユダヤ人とアラブの経済格差も、それに追い討ちを掛けている。

商売上手なユダヤは国境を越えて、先進国に入り込み金の掴み方が巧みで、言い方を

変えれば汚い商売でも・・・。だから殺戮兵器も最新、片やパレスチナは疲弊して対抗する

武器もなく、特攻作戦の「自爆」という自己犠牲で戦果をあげる・・・。

で、映画に話しを戻すと、オリンピック開催中にパレスチナのゲリラがイスラエル選手を人

質に捕縛されている同胞の開放を要求、ここで三人のオリンピック関係者が射殺され、前

代未聞のオリンピック中断となってしまう。

西ドイツ警察は自国のことであり、犯人の要求を呑むようにして飛行場へと、そしてそこで

起きる銃撃戦、人質のイスラエル選手たちは全員射殺され、三人のパレスチナ人が逮捕

されて、オリンピックは再び再開されて・・・。

で、この映画「ミュンヘン」はこれの後日談、収まらない怒りを持つイスラエルは、特殊工作

機関にパレスチナゲリラ暗殺、オリンピック時の犯人の家族や知人等の殺害を依頼する。

ここから監督のスピルバーグの変にヒューマンな出来事が凄惨な場面と相前後して、争いの

不毛を描いていくものだ。

ラスト・シーンの実際テロで崩れ落ちた貿易センタービルがくっきり夕景に映し出される場面は、

もう不毛の諍いに終止符を打てよとでも言いたげな物憂いさを漂わせる。

と、いった少しばかり互いへの批判も込めた映画だったが、あれから三十六年、民族的対立は

イスラエル・パレスチナだけでなく、開催地中国にも潜在しチベット人、ウィグル人、モンゴル人

と不満が溜まっている・・・。

そして大震災で知らされることのない核施設の損傷と放射能漏れ、環境は最悪、報道規制は

すこぶる酷いが、あの地震の時の人民解放軍の体たらくを見せられると、いざ騒動が勃発した

場合、自国民並に、やってきた世界中の人々にも災いが降りかからないとも限らない。

ミュンヘンはイスラエル・パレスチナという限定されたものだったが、こと中国となるとあの偏狭の

ナショナリズムがオリンピックという国家の威信が懸かるとなれば、一気にヒートアップするのは

目に見えている。

その時、あの国の民は必ず他国の選手、民衆に目をむくのは分かりきっている。

そんな危険な国での開催に対して、日本は呑気に「水着」だと騒動にする報道には、いい加減

げんなりしてしまう。

「ミュンヘン」並みの惨劇が起こる可能性は排除出来ないだろうに・・・。

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