「ローズマリーの赤ちゃん」から想像する、誕生した人間のその後を
予想する時、ちらっと思い出す「悪い種」の少女、犯罪者の感情は遺
伝するか・・・。
もうこれは今では完全に否定される事柄ではあるが、その昔は「かえ
るの子はかえる」と言われるように、ある程度、そのことが遺伝してしま
うと考えられていた。
そういった視点から作られた映画と、未知なるものを扱う空想科学映画
に、やはり子供の残虐性・無感情を扱ったものがあった・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=C98JgQz9vr4
「悪い種」 五十六年公開作
この五十年前の映画は、普段大人しく可憐な少女が、殺人鬼の裏側を
持っていて、それに対する母親の葛藤を描いたサイコ・スリラーである。
隣人の死をきっかけに、母親が我が子を疑うという何ともなお話で、心
理的にはやり切れぬ思の母親に、どうしても傾注してしまう。
ただ取った行動は、擁護であり隠蔽といささか対応のまずさに、「過保護」
の文字が浮かんでくる。
にしてもホーム・ドラマといっていい、家庭内での映像でも、この殺人鬼の
少女の演技には、唸らされる。
表情の変化には背筋が寒くなり、もしこういった少女へ我が子が成長したら
とわが身に置き換えると、居たたまれない・・・。
「ローズマリーの赤ちゃん」の誕生した悪魔の子の成長・・・。
年代が逆転してしまっているが、取り上げるテーマによっては共通する事柄
に落ち着いていってしまっている。
「悪魔の仕業だ」の逃げ口上が、加害者側にあれば、被害者は浮かばれない。
加害者側からの視点で描くと、こういったものも少女だけにその原因を隔世遺伝
とかに逃げ込みたくなる。しかしもって生まれた資質である二面性をどこかに追い
やって殺人という犯罪を、それも少女が行ったに衝撃を受け、だが解決策はなく、
ラストに至っては、はれっ、こんなでいいの・・・。
シリアスなものでも、そこにファンタジィーを折り込んで、暗くなるテーマを強引に
終わらせたという印象が残る。
まぁ、これを書くきっかけは勿論、光市母子殺害の少年に死刑が言い渡されて、
はて、この少年の生い立ちと系譜は問題にならないのかと、疑問になり思い出した
次第である。
もう五十年の時が過ぎたが「悪い種」の題名は、いささか薀蓄に富んでいて、この
映画にはあっていた・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=8aA2HliA1KE
「光る眼」 六十年公開作
http://www.youtube.com/watch?v=4pJdejSLPFc&feature=related
「続光る眼」 六十三年日本未公開作
こちらは同じ幼い少年少女でも、空想科学映画における無表情・無感情
のやたら気味悪い子供が超能力を有し、自在に人の感情をコントロール
出来るという、一種のパニック映画。
「のろわれた村」という原題が示すように、ある日突然閃光が村全体を包
むと村民は一斉に気を失い、三時間後何事もなかったかのように覚醒す
るが、なんと女達は全員妊娠していた・・・。
で、無事に生まれた子供達は、通常の三倍の成長を見せ同じ髪に無表情
無感情で違った腹から出てきた割には、全員の意志は同じで、とても攻撃
的な性格・・・。「光る眼」の特徴で人間がパニックに襲われ、自殺していっ
てしまう。
勿論空想科学映画だけに、これらが未知の生物の仕業と置き換えられて
いるが、そこは根底にあるのが隊列を組み、意志の疎通を一つにまとめ
という、価値観の違うものへの攻撃性と、もろ思想的に相容れないものへの
アンチテーゼと見ることが出来る。
で、作者は古い概念にこそこれらの恐ろしさを見るが、こちらが受ける印象は
あのカンボジアのポル・ポトの共産主義が頭に浮かんでくる。
時代を経れば、共産主義に憧れを抱いた世代と、それらの危険をかぎつけた
世代で分かれてくる。だからこういった映画でも、やはり違った見方が出来て
しまう。一作目はなかなかに面白い映画であったが、二作目はこれらの超能
力をもった異端児を政治利用しようとする大人の犠牲者に仕立て上げているが
ここらに馬脚が見えて、ただの凡作になってしまった。
http://www.youtube.com/watch?v=0WzcW9haPto
「光る眼」 九十五年公開作
こちらはジョン・カーペンターのリメイク作品であるが、ホラーとしての
視点も今一だし、役者を揃えても脚本がグダグタでは、映画の出来と
しては今十ぐらいであり、出来そこないという作品になってしまった。
リメイクはどうも、オリジナルを越えないのはなぜか共通している。
にしても、脚本の枯渇がリメイクに走らせるのか・・・。
とニ作品とも設定は違えども、子供が主役である。
で、どちらも殺人という凶悪犯罪が巻き起こる。
だけに観客にはインパクトがある。要するに子供に向ける大人の視線は
純粋無垢な天使のイメージで、「泣かせる映画」の筆頭は子供のいたい
けな姿が涙を誘うである。
それとは対極にある映画も、実際はどこかに子供らしさを入れたいと、
迷いが生まれると、この続編やリメイクみたいに、ぐだぐたなものになら
ざるえない・・・。
ある程度の年齢になれば、資質的に犯罪や規範から飛び出してしまう
人間は実際いるのだ。
皆、善良など有り得ないし、狡猾な気持ちな人間がいるからこそ、争いは
あるのである。
まぁ、ただそれらの人間がごく一部であるから、世の中それなりに回って
いるし、抑制に繋がっている・・・。
で、それらとは違った子供の反発は、見ていてほっとさせられる。
そんなものを扱ったものを、最後にリンク・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=a1Tex7o9470&feature=related
「ティーチ・ユァー・チルドレン」 クロスビー、スティルスアンドナッシュ
これなどは可愛い反発だと思うが・・・。
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