見知らぬ他人の恐さ「ヒッチャー」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

見知らぬ人に対する警戒感が、この映画を見た後は・・・、

特に見知らぬ町で見知らぬ誰かが、危害を加えようと潜んでいる

やも知れぬ。

このところの報道を見るたび、物騒というより狂気じみた人間の身勝

手な行動に、この映画以上の戦慄を覚える。



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http://www.youtube.com/watch?v=0psb2oKEfUc

「ヒッチャー」 八十六年公開作

「親切心が仇になる」を分からせる映画。

車を運転して遠隔地まで運ぶ仕事をしている主人公は、親切心で他人を

自分の車に乗せてやる・・・。

で、相手は殺人鬼だった。という設定で、この親切心が後悔に繋がり、狂気の

殺人鬼は主人公がなんとか振り払いほっと一安心しているところに、なんと

再び迫って来る。もう主人公は何がなんだかわからないが、とにかくこの殺人

鬼から逃れるため・・・。

って、ここらで「あれっ、これ激突だよ」とストーリーのにかよりと、果てしなく追

いまくる殺人鬼に、ははん、美味しいとこ頂きましたの口かとなるが、大型トラック

が人間だったら、より恐怖は増すというところのアイデアは、ばっちりはまりというか

この殺人鬼を演じるがルドガー・ハウアー、狂気を滲ませる殺人鬼を熱演しているか

ら、観客は主人公の気持ちに同化して、スクリーンにのめり込んでいき・・・。

にしてもこの殺人鬼が、ターミネーターよろしく不死身な上、神出鬼没には参った・・・。

それでも展開の早さがそれらを払拭させて、息つかせぬ危機の連続は、見終わった後、

瞬間、どっと脱力する。


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http://www.youtube.com/watch?v=vmsn56HXBLQ

「ヒッチャー」 〇七年公開作

こちらはリメイク作品だが、そのままでは芸がないと主人公を女に変えて

アベックと殺人鬼という、なんだか「十三日の金曜日」みたいなただのホラー

映画になり下がりで、やはりリメイクはオリジナルを越えていかない。

それでも展開の速さと、大掛かりなセットの爆発シーンとか無駄に金をかけた

部分の迫力はある。もっとも前作の殺人鬼の狂気が全身を包むというオーラ

は残念ながらなく、やはり神出鬼没のジェイソン並な恐怖の対象としか見えない

すると、見知らぬ他人が一気に変貌して不条理に命を狙われる恐怖という観客も

肝を冷やすというサプライズはなくなり、ああ映画だものなで、いつの間にか他人

事で主人公の困難さも飽きがくるという、結末の分かった映画の宿命がそこにあっ

て、評価はどうしても辛くなる・・・。

ネタがないんだろうなぁ、という映画製作者への同情で映画は終わる・・・。


と、リメイクはやはりオリジナルを越えないが、ただこのヒッチハイカーを気楽に乗

せるという風潮に、冷や水をぶっ掛ける映画は「自己防衛」の難しさも教えている。

相手が狡猾で悪知恵が働けばへたすりゃ犯人に仕立て上げられ、その上偏執狂

が相手では、それこそ人生の大半の精力を注ぎ込んで逃げ回らなければ・・・。

何とも厄介な人々が、皆様の近くにもいそう・・・。


と、ヒッチハイクで旅を楽しむ人が敬遠されかねない映画だが、それとは逆に

楽しいヒッチハイカーもいるってことで、一曲・・・。


http://www.youtube.com/watch?v=r3ngLnQWhhM

「スィート・ヒッチハイカー」 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル

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                        といったところで、またのお越しを・・・。