差別意識の転換点「夜の大捜査線」「招かざる客」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

黒人の公民権での、差別的問題は先の「ミシシッピー・バーニング」だけでなく

その前から、差別との戦い、良識派の擁護と無理解を取り上げた映画はあった。

その中に、この映画「夜の大捜査線」「招かざる客」も含まれよう・・・。

この二作品は黒人俳優シドニー・ポワチエが重要な役柄を演じている。

にしてもこの邦題は、誰の案なのだろう・・・。



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http://www.youtube.com/watch?v=xVzEPfVOGeg&feature=related

「夜の大捜査線」 六十七年公開作

ミシシッピーの田舎町で殺人事件が起こり、都会の敏腕刑事に応援の要請がある。

その刑事は黒人であった。で、出だしから田舎警察の差別意識がもろにと、終始この

路線が貫かれる、その差別主義の署長役がロッド・スタイガーで黒人刑事がシドニー・ポワチエ

このシドニーは知的な表情も相まって、よりこの映画で冷静で迫害に毅然とする役柄にぴったり

はまり、結局は迫害・偏見あらゆる妨害にもめげずに、事件を解決へと持っていく。

そして南部の雰囲気を背景からかもし出していたのが、クインシー・ジョーンズ、レイ・チャールス

の音楽と、黒人差別の酷い南部を際立たせていた。

で、六十八年のアカデミー賞は、この年暗殺されたキング牧師の衝撃もあり、以下に記す「招かざる

客」ともども話題になり、こちらが作品賞と主演男優賞を得ている。



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http://www.youtube.com/watch?v=MXZiuXRex5E

「招かざる客」 六十七年公開作

この映画は上のサスペンスものとは打って変わって、家庭ドラマなのだが役者が

良く、当時の社会の風潮も白人の戸惑いと、時代の変化を映像に映し出している。

一人娘が結婚をしたいという・・・、年老いた両親にとっては大変喜ばした出来事と

歓迎するものだが、そこに現れるのがシドニー・ポワチエと相成り、邦題の通りの

戸惑いをこの二人が良く演じていた。

特に母親役はキャサリン・ヘップバーンが演じているが、最初の戸惑いから徐々に

シドニーの人柄に親近感を抱きだすと、好奇の目の周囲に対して毅然と対応する

ようになると、娘の気持ちに精一杯応える母親役を見事に演じ切って、アカデミー

賞主演女優賞を獲得している。


この二本とも黒人差別を扱っているが、この頃の公民権運動の盛り上がりが、結局

はアカデミーにも影響し、キング牧師の悲劇も加わって、三部門での獲得を・・・。

そして映画の影響も加味して、差別への社会的批判が高まっていった・・・。


またシドニーの演じた刑事ドップスの評判から、シドニー主演で続編みたいなものも

作られ公開された。



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http://www.youtube.com/watch?v=7lptjR-PV9c

「続・夜の大捜査線」 七十年公開作

続と銘打ったものの、内容はただの犯罪者とそれを突き止める刑事との

葛藤という、有り触れた刑事もので、特に見所もない・・・。

あるとすれば聖人となる牧師の裏が垣間見えるというところか・・・。



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こちらに至っては、よーつべに投稿もされていない。

七十一年公開作である。

こちらは強大な麻薬組織に挑むドップスとなるのだが、ただの犯罪映画

で見るべきものもない。

第一作にあったような唸るような展開と背景は、後に映画監督となるハル・

アッユビーらの問題意識が映像に込められていたからのものと解釈され

そういった気概がないと、どこにでもある平凡なものへと早代わり・・・。

にしても原題が「蒸し暑い寝苦しい夜」は、本当に映像にその肌がべたつく

みたいな雰囲気が、漂っていた。

あの頃は、熱かったが実感出来る・・・。

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                   といったところで、またのお越しを・・・。