「殺しのライセンス」のエントリーを書いていて、フランコ・ネロに触れて思い出した
イタリア映画に「殺しのテクニック」ってのがあった。
この邦題を考えた人は、当時の流れで同じようなストーリーなら、いやプロの殺し屋
なら、この題名の方がよりイクパクトがあるし、興味をそそられる。
商売上手といえば、その通りだが現在のような邦題を全く考えない映画より、考えるだけ
映画に対する愛情があるかのように思う。
ただその一方、その映画が当たると関連もないのに、続編のような邦題をつけてしまうのに
は、いささか騙しに似た胡散臭さが映画自体に漂ってしまう。
この映画も、シリーズでもないのに日本では三部作になっている。
http://www.youtube.com/watch?v=oONXaqpXfV8
「殺しのテクニック」 六十六年公開作
ロバート・ウェーバーの初老の域に達して、そろそろ殺し屋稼業引退
を感じている男の物語で、それにネロが絡んでいるものだが、主役は
脇役が多かったウェーバーで、渋い演技が際立って孤独で寡黙な役を
見事に演じている。
テクニックといえば、殺しのやり方及びカメラワークなのだろう。
それもなかなかに凝ったものだった。
http://www.youtube.com/watch?v=pcN-dPcGXRM
「続・殺しのテクニック、人間標的」 六十七年公開作
こちらの主演は、悪役専門だった特異な顔立ちが印象的なヘンリー・シルバー
で、ぞくりと来る顔が無実の罪で投獄、それを利用とした者の手によって、弟として
諜報活動をドイツで行い、色々な出来事をこなして自らの真実を掴み取る・・・。
ヒーロー的主役なのだが、特異な悪党面が幸いし、何か腹に一物あるのではの
先入観から、なんともさっぱりしない。
第一どこがテクニックなのか・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=JOGsmRc5FvM
「新・殺しのテクニック 次はお前だ」 七十一年公開作
こちらは題名とは全くかけ離れた猟奇殺人事件の解決を担う新聞記者の
奮闘物語。
それなりに展開が複雑で、またサイコ的場面もありと映画として楽しめるの
だが、如何せん邦題が「次はお前だ」はねぇだろう。
第一、続・新って、安易過ぎるってな・・・。
まぁ、この頃はマカロニ・ウェスタンの全盛時である。
題名なんてさらっとストーリーをなぞって、当たりそうな言葉を当てはめ、
一丁出来上がりってな、配給会社のやっつけ仕事・・・。
それが後になって、記録媒体の再販売となると、邦題をつけた人も赤面
するのではないか・・・。
それ程、印象深い映画でもないが、この三作、悪役が表で奮闘という切り込み
でいうと、なかなかに味があるものばかり・・・。
フランコ・ネロもヒーローというには、顔立ちはいいがどちらかというと悪党が
似合う・・・、「ウイーク・エンド」という映画では、実際悪党だったし・・・。
まぁ、しかし悪党役が主役に踊り出ると、甘さが全くなく映画自体は締まるのは
どうしてか・・・。いい悪いでなくイタリアの商魂逞しい映画ではある。
といったところで、またのお越しを・・・。