近づく確定申告、思い出す「マルサの女」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

今は亡き伊丹十三が描く、日本の「ブラック・コメディ」はどれも

とても検証が深く、またその庶民目線で社会正義を追っていた

ところに、面白さと共に守銭奴やヤサグ者の汚い手口を、赤裸々に

画面に投影させていた。



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http://www.youtube.com/watch?v=FF52PqSQTxc

「マルサの女」 八十七年公開作

伊丹十三監督の独特の価値観が、スピードと緊迫感を孕んで、騙し騙されの

テクニックのオンパレードで、これまであまり知られことのなかった国税局査察部の

奮闘を、面白おかしく描いて見せた。

税務職員が泣いて喜ぶ、そして脱税というか節税というか、住む限りにおいて避けら

れない義務を、何とか回避しようとする者との暗闘は、殊の外面白い映像となった。


http://www.youtube.com/watch?v=KxxXDHErFvo&feature=related

「マルサの女 ニ」

好評につきの続編では、これまでタブーとされた宗教法人が隠れ蓑化しているのを

暴いてみせる、思い切った演出を取っていた。

宗教活動に税をかけないを悪用したものであるが、宗教法人の非課税扱いは監視の目

が行き届かない一面をもっていて、あのオウムも宗教法人であった事実が重くのしかかる。

脱税の温床となりかねない信教の自由だが、もうそろそろ固定資産税くらいは課税へ向けて

検討した方がいいのではないか。

その上で貧乏寺には、免除項目を設けるのがベストだと思うが・・・。

何しろこの国には、制度を悪用しようとする悪知恵の働く人々が、多い・・・。


で、伊丹監督は国税庁・警察と官憲に対しての擁護を、また暴力団に厳しい扱いで暴漢に

襲われるという事件も起きているが、それに怯むことなく活動をしている矢先に、日本の素晴ら

しい報道機関の不倫バッシングで命を絶つという結果で亡くなっているのだが、その時は医療

廃棄物問題を抱えて、熱心に取材をしていた・・・。

今となっては、さてさて不倫ごときで命を落とすかとなるのだが、社会正義に真摯に向き合い

それを難解でなく、娯楽として浸透させる手腕の喪失は、残念でならない・・・。

と、確定申告という時期を控えて、思い出すままに書いてみました。



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                          といったところで、またのお越しを・・・。