不況のアメリカ三十年代の鉄道「ロコモーター蒸気機関車」に常に無賃乗車
しようとする者と、それを絶対に許さない車掌の、凄まじい対立を軸に今では
郷愁を呼ぶ「蒸気機関車」がメイン?の映画が「北国の帝王」である。
http://www.youtube.com/watch?v=c3QlXk8Ex4Q
七十三年公開作 監督ロバート・アルドリッチ
主演はリー・マービィンとアーネスト・ボーグナイン
「西部戦線異状なし」のリメイク版で顔を見て、この映画を思い出した
ものなのだが、この初老二人の諍いは常軌を逸している。
何が何でも列車に乗せるのを拒否するボーグナインと、無理矢理でも
何でも乗り込もうとするマービィンの対立は、どんどん激しくなりついに
「タイマン」に発展と、監督の対立構図の好きさ加減がわかる娯楽作品
として秀逸の出来の映画である。
その上当たり前だが、映画全編ほとんどが蒸気機関車上でのやり取り
であり、バック・ミュージック的に機関車の躍動音が聞こえてくる。
蒸気機関車の独特の律動音は、心地良い調べだ。
http://www.youtube.com/watch?v=HuwWvlhFaNg
マービィンとボーグナインの対決シーン
何もここまでやりあうことか?と、普通に考えれば違和感ありったけな
シーンだが、これを見ていた時は、全く感じなかったし、動く列車上で
の「ケンカ」は、どちらかといえば無賃乗車のマービィンへの肩入れに
なる見方で、はらはらどきどきの連続であった。
にしても蒸気機関車だからこそのスピードで、見ていて疲れない。
これが現代のスピードでのものもあるが、それだとやはり技術的に加工
が施されてしまって「うそ臭さ」が画面に現れて興ざめする。
やはりそれなりの人間の限界を超えない程度での「ケンカ」は見ごたえが
ある。
にしても、やはりこの種の映画は「蒸気機関車」ってだけで、見ていてわく
わくするのは、ノスタルジィーが機関車にあるからなのか。
煙を吐きながら懸命に走る蒸気機関車の勇姿と、滑稽なほど些細な争い
を雄大な自然は、笑顔で見詰めている。
てなオチが浮かんでくる映画です。
といったところで、またのお越しを・・・。