「ゴジラ」を世に送り出した東宝の大ヒットに刺激されて、映画各社とも
怪獣ものへと参戦してくる。
中でも大映の「ガメラ」は近年まで、その存在感を示していたが、その他
の映画会社の作品もそれなりにあった・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=M8iZePUAokM
六十五年公開 大映映画「大怪獣ガメラ」
ゴジラがゴリラとクジラの造成語だとする想像上の怪獣となるが、
ガメラはそのものずばりのカメの最大形となりそうだ。
もっとも空を飛び・火を噴きの先に登場したものの踏襲は避けられず
それに附加するように、「子供の味方」というコンセプトが当初の凶暴
性を緩和して、地球の守り神的存在となっていくのは、「ゴジラ」と似通
って、差別化は計れなかった。
ここらに怪獣ものの限界があり、破壊か人間界に禍をもたらす巨大な敵
との対峙図式が出来上がってしまう。
とパターンは固定されてしまうが、大映としてはこの映画のキャラクターで
ある程度、社命が延びたのを考えると相当の功労者であったのではないだ
ろうか。
長い時を経て「ゴジラ」が復活を遂げれば、「ガメラ」もパワー・アップして復
活して、シリーズが何作か続いたのは、初期のガメラで育った世代が、幼少
期のヒーローを、再び甦らせ次世代へのバトンを繋げる役目を担ったようで
何十年後には、再び破壊のヒーローとして甦るのでは・・・。
東宝以外で、ヒーローとなりえた「ガメラ」は、幸せかも・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=vpU6ysv28w8
六十七年、日活映画「大巨獣ガッパ」
怪獣のモデルとして「幻の生物・伝説のカッパ」が使われ、その巨大
版として、スクリーンに愛嬌のある姿を現した・・・。
ある意味でこの日活の特撮怪獣ものは、傑作である。
怪獣に親子が存在し、何より親が子を思う余りの破壊工作
と、破壊についての理由づけがされている。
ラスト・シーンの怪獣の情愛?には、不覚にもほろりとさせられる。
と同時に、怪獣を人間レベルまで下げての家族愛を描く脳みそに
ロマン・ポルノに走る訳だと、納得させられる・・・。(見終わって、腹が
立つと同時に笑ってしまう貴重な映画である。)
http://www.youtube.com/watch?v=dIM1cDh7MhI&feature=related
六十七年 松竹映画 「宇宙怪獣ギララ」
海外では「X・フロム・アウタースペース」というもっともらしい題名
になっていたが、この特撮の素人集団みたいな連中は、街並みと
怪獣の縮尺を間違ったようで、場面によってビル程の大きさだったり
ある時は全長一キロはあるのではないかと思える巨大さとスケール
が映画の中で頻繁に変わってしまう。
だけにこれ一作で、松竹は特撮怪獣ものから撤退を余儀なくされた。
六十六年公開 東映映画「怪竜大作戦」
怪獣ものに得意の時代劇をからめた東映のヒーロー「自雷也」
大活躍もの・・・。
後に大映も時代劇に怪獣もののペーソスを盛り込んで「大魔神」
シリーズを制作することになる。
ここでの破壊は、「勧善懲悪」の圧政に苦しむ庶民の味方だから
余計に胸がすく・・・。
またこの「大魔神」については改めて・・・。
どこの世界にも、柳の下の二匹目はあるが、安易な発想と未熟な
特撮は、後の世になれば物笑いの種を作ったようなものである。
もっともビー級映画として、語り継がれることもあるので、当時の思惑と
違った展開が、これからも待ち受けているのを期待する。
といったところで、またのお越しを・・・。