武道に笑いを持ち込み成功した「酔拳」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

武道としてのカンフー人気を支えたブルース・リー亡き後、一時期マカロニと

同じ轍を踏む粗雑乱造で人気が落ちかけた時、脇役から主役に踊り出た一人の

男が、それまでなかった笑いをカンフー映画に持ち込んで大ヒットさせる。

主演は「燃えよ、ドラゴン」でも脇役として出ていた、ジャッキー・チェンである。



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http://www.youtube.com/watch?v=ffQGz3DMoyQ

「酔拳」七十九年公開作

この映画も公開時は大して期待されずに、というか凋落傾向にある

カンフー映画に、配給した東映は抱き合わせとしての公開だった。

菅原文太の「トラック野郎」との併映で、どちらかというとトラック見た

さの客が詰め掛けたからのヒットと言えるかも知れない。

もっともこれが評判となり、「笑拳」以下続々とジャッキーの映画は日

本でヒットしていくことになる。

ブルース・リーが確立したカンフー映画のストーリー性が飽きられて

来た時というのも、何ともマカロニ・ウェスタンの復讐劇や悲壮感一杯

の筋立てが飽きられてしまったのに似ている。

その点、ジャッキーの演技もコミカルで笑いがでるのに、やはりめっぽ

う強いという、笑えるヒーローというのは、万人受けする。

そして中国語でない、日本語の吹き替えによってより日本での人気が

でてきたように思う。

声優の力量が陰の立役者であろう。

大概の外国映画が茶の間に浸透するのは、吹き替えの声優に力がある

からと思う。

演じている役者の人格も声優の良し悪しで、人気にも差が出る。

何よりジャッキーの映画が、日本語でのやり取りでないと違和感を感じる

ってのに現れている。

言語によってはとても映画どころでないものもある。

まだ中国語は、聞いていてもそれ程イライラしないで字幕を読むことが出来

るが、朝鮮語になるとイラって来る。

「ニダ」って結語がムカつくのだ。だけに朝鮮映画やドラマの吹き替えも、聞い

ていて口パクみたいで、そのドラマに入り込めない。

「冬のソナタ」なんて、ヒットしたというが、五分と見ていられなかった。

日本語を喋る画面と口の動きが違っているのだ。

以来朝鮮のドラマも映画も見ていない。

これはジャッキーにもいえて、テレビゲストで出演して中国語を喋られると

げんなりしてしまう。イメージは吹き替えの声優の声なのだ。

コミカルで軽妙、そのくせ心の篭った声色に魅力を感じてしまう。

で、このところ実写映画よりアニメの方が客を呼んでいるのも頷けるのだ。

声優の魅力ある声の方が、映画も際立って良く見えるし、ましてアニメでは声優が

命を吹き込むから、より二次元のものが親近感を与える。


にしても、カンフー映画の凋落が始まったとみるやハロルド・ロイド等の笑いを取り

入れるあたりは「香港」の商売上手ぶりが伺える。

何よりパクリ大好きの朝鮮と違って、自分の立ち位置に工夫を凝らして身に付ける

映画作りの根性は、あの「北京原人の逆襲」を撮っていたとは思えない出来栄えだ。


                         てなところで、またのお越しを・・・。