自閉症の純真無垢な「レインマン」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

ダスティン・ホフマンていう役者は、そのストーリーのコンセプトを一から十まで

理解し、その役に徹する鬼気迫る演技がみものな俳優である。




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http://www.youtube.com/watch?v=h549dXSVl0s&feature=related

八十八年公開作

相手は弟役がトム・クルーズで、自閉症を患った兄役をホフマンが

演じている。

もっとも自閉症と一くくりに出来るものでもない病症なのだが、ホフマン

は役作りのために、そういった施設で行動パターンをつぶさに研究して

臨んだから、見ている人にとっては「自閉症」の人の行動として理解でき

言動の異常さにも、理解が生まれる。

で、ストーリーといえば、親の遺産を相続する知らせで、父と反目していた

弟は遺産品にショックを受けて、遺産の大部分が会ったことない記憶にな

い兄になされると知って、兄の元を訪ねる。

そこで自閉症の兄と対面し、遺産目当てに後見人を申し出る。

その普通の感覚を持たない兄と、極普通の感覚の持ち主の弟、そしてその

恋人での旅に出ることになる。

こんなところはロード・ムービーの側面もあるが、物語自体が「自閉症」なの

だからこういった設定にしないと、観客には響かないだろうし、画面の変化が

ないと飽きられてしまう。だけにコメディータッチの場面も登場する。

そしていかがわしい目的の弟の恋人は、それを知って去っていく。

だが反対にいかがわしい目的だった弟は、兄の繊細な心や、抜群の記憶力

等、次第に心の変化をきたしてくる。

そして幼い時の記憶が甦り、反目していた家族の内で「レインマン」と名づけた

癒しの対象が兄だと気づく・・・。

弟役のトム・クルーズの役者としての成長も窺える場面も用意され、ラストは

やはりと言うか、哀しい別離シーンとなってしまっている。

ただこういった静かな作品でも、その演技の素晴らしさで精神病への理解を

観客に広める役割は大きい・・・。


自閉症と一概に言っても、この「レインマン」の場合は、サヴァン症候群の男の

人をモデルにしているらしく、記憶力はコンピューター並で、その才能は抜きん

出ている。この他アスペルガー症候群とか、「賢い白痴」と呼ばれる才能的には

凡人の一般人を凌駕するのではないか・・・。

ただ幼い頃には、症例の少ない人への理解は進まず、「いじめ」の対象とされる

一般人の凡人ぶりが、痛々しくなってくる。

それにしてもダスティン・ホフマンの演技は、見ていて「レインマン」を愛しい存在

として認知させるのだから、相当なものだと思う・・・。


                       といったところで、またのお越しを・・・。