【映画評】決着(おとしまえ) | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。日本人には一度始めたことを止められないという悪い国民性があるようです。戦争を始めたら、身内を殺されても自分がひもじい思いをしても止められず、80年前に破滅しました。そして不安だらけの大阪・関西万博も止められないのでしょう。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『決着(おとしまえ)』です。

 

日支事変から戦後に、浅草の市を守って来た男たち。父とも慕う親分を殺された浅草生まれ、命しらずの3人が、一度は捨てた渡世のドスを再びとって無法を斬る(映連データベースより引用)。1967年公開作品。監督は石井輝男で、出演は梅宮辰夫、吉田輝雄、嵐寛寿郎、谷隼人、大村文武、関山耕司、砂塚秀夫、山本麟一、河津清三郎、路加奈子、磯野洋子、大木実、丹波哲郎。

 

石井輝男監督のヤクザ映画です。戦前ではなく、戦後が主な舞台ですから仁侠映画ではありません。

 

映画の冒頭、秋葉組親分(嵐寛寿郎)が出入りに行くぞと子分たちに言って、戦場である大陸に渡るシーンから始まります。このスタートから本作にシリアスさを求めてはいけないことが分かります。秋葉組親分はその言動によって黒田組との対立をややこしくし、ストーリーを展開させる重要な役割を果たしています。

 

嵐、吉田輝雄、丹波哲郎という石井作品常連俳優がいる中、主演は梅宮辰夫です。後に梅宮と谷隼人は、本作の助監督である野田幸男が監督する『不良番長』に出演します。本作のシリアスさを求めない作風は、「不良番長」シリーズに影響を与えたのかもしれません。

 

形式的な主演は梅宮ですが、実質的な主演は吉田です。梅宮が演じる吉川の兄貴分である中根を演じる吉田は、梅宮より見せ場を与えられてカッコ良く撮られています。新東宝在籍時からの付き合いがある吉田は、石井監督にとって魅力を引き出せる、信頼できる俳優なのでしょう。

 

シリアスさのない本作であっても、今風で言うエモさのあるシーンはたっぷりと用意されています。そのクライマックスはラスト前の梅宮大号泣シーンです。石井監督が表現したいのは、観客の感情を揺さぶるエモさであり、ヤクザ映画というジャンルに対して強い思い入れはなさそうなのです。

 

★★★☆☆(2025年3月17日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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