どうも。国民が主人である主権国家において、政治家は部下として信用できる人物かが重要であり、カリスマとして信仰の対象にしたらアウトです。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『黒い下着の女 雷魚』です。
入院中の人妻が病院を抜け出し、テレクラで知り合った行きずりの男を刺殺する。人妻が立ち寄ったガソリンスタンドの店員は、偽証することで彼女を警察から解放する。人妻と店員は暗い過去を抱えた者同士で惹かれていく。1997年公開作品。監督は瀬々敬久で、出演は伊藤猛、佐倉萌、鈴木卓爾、穂村柳明、のぎすみこ、外波山文明、佐野和宏、岡田智弘。
瀬々敬久監督のピンク映画です。ポルノとしての実用性より映画としての作家性に重きを置いた作品です。
登場人物の表情が冷たく、感情の起伏が激しくないです。この体温の低さは、閉塞感まみれの毎日を過ごす地方都市住民のリアルな姿です。人妻の紀子役を演じる佐倉萌の死んだ目が象徴的です。
魚名を用いたタイトル、千葉県北部という舞台設定から本作を同年公開の『うなぎ』と比較してしまいます。高級魚の鰻と魚屋が買い取らない下魚の雷魚の扱いは、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作である『うなぎ』とピンク映画である本作の世間的評価に重なります。
また『うなぎ』が「重喜劇」としてポジティブな人間讃歌になるのに対し、本作における人間観はネガティブ極まりないです。本作をリアルな現実と解すれば、『うなぎ』がファンタジーに見えてくるのです。
★★★☆☆(2025年3月7日(金)インターネット配信動画で鑑賞)
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)