どうも。ブラック労働で心身壊され、ひきこもりニートになった就職氷河期世代=団塊の世代ジュニアが、その原因を作った団塊の世代に「ニートになるのは甘えだ」と責任転嫁されたら、年金減額とか高額療養費引き上げとか高齢者いじめ政策を支持する心境になるのは一応理解できます。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『悪い種子』です。
放蕩三昧の生活を送るアンリは、支援を断ち切ろうと考えた父親に愛車を売られてしまう。後日、アンリはその車がキーを付けたまま路上駐車されているところを見掛け…(KINENOTEより引用)。1934年製作のフランス映画で、日本劇場未公開作品。監督はビリー・ワイルダーとアレクサンダー・エスウェイで、出演はピエール・ミンガン、ダニエル・ダリュー、ガビー・エリティエ。
『サンセット大通り』や『七年目の浮気』で知られる巨匠ビリー・ワイルダーの監督デビュー作です。邦題は原題を直訳して『悪い種子』ですが、同タイトルの有名作品があるので『ろくでなし』という邦題もあります。しかし吉田喜重監督の同タイトル作品もあるので、ややこしいことになります。
オーストリア(現ポーランド)生まれのユダヤ人であったワイルダーは、ナチスによる迫害を逃れるため、フランスに亡命して本作で監督デビューしました。ナチスのユダヤ人迫害政策は数々の優れた才能を国外に流出させており、レイシズムは国を弱体化させるという歴史的教訓を遺しました。
亡命前に映画脚本を何本も書いていたワイルダーは、映画について素人ではありませんでした。それ故に本作はデビュー作でありながら、きちんとまとまった出来になっています。
本作には何度もカーチェイスのシーンがあり、それを売りにしていたようです。その点で本作は『ワイルド・スピード』や『頭文字D』と同ジャンルに分類できます。
後にアメリカに渡ってから、ワイルダーはハリウッドで多彩なジャンルの映画を手掛けました。そうであっても監督デビュー作がカーキチ(車気狂い)映画であるのは意外なのです。
★★☆☆☆(2025年1月17日(金)インターネット配信動画で鑑賞)
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