【映画評】愛怨峡 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。農家でも農協でもなく、業者が投機目的で米を買い溜めることによって米価高騰という現状は、富山の米騒動と同じ事情です。買い溜め業者が発覚したら、消費者は暴れていいのではないかな。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『愛怨峡』です。

 

信州で旅館の女中をしているおふみは、その旅館の跡取りである謙吉と深い仲になるが、謙吉の父親に結婚を許してもらうことができず、二人で東京へ駆け落ちした。しかし謙吉は働きもせず、貧しい生活に耐えきれず実家に戻ってしまう。謙吉の子供を妊娠し一人残されたおふみは、流しのアコーディオン弾きをしている芳太郎の世話になり、子供が生まれると里子に出した。おふみは芳太郎と漫才コンビを組み地方を訪れた際、謙吉と再会するのだが…(allcinemaより引用)。1937年公開作品。監督は溝口健二で、出演は山路ふみ子、河津清三郎、清水将夫、田中春男、浦辺粂子、菅井一郎。

 

トルストイの『復活』を下敷きにした川口松太郎の原作を溝口健二が監督した人情劇です。『復活』も原作も未読ですので、これらとの関連については言及しません。

 

長年幻のフィルムとされていましたが、不完全ながら発見されてソフト化されました。本作の他にも、まだ発見されていないフィルムは古い倉庫に眠っているのかもしれません。

 

本作は『浪華悲歌』と『祇園の姉妹』に続いて作られ、逆境にめげずに強く生きる女性が描かれています。いわゆる女性映画は溝口監督の得意分野です。

 

本作の主人公おふみ(山路ふみ子)は謙吉(清水将夫)との間にできた子供を育てるため、酌婦から芸人になり、芳太郎(河津清三郎)と漫才コンビまで組みます。そこには戦前の家父長制で男尊女卑を基本とする日本社会に抑圧されながらも、自分の才覚と努力で生きていく女性への共感があります。

 

それだけでなく、貧しい家庭環境で父親に反発し、映画界という芸能の世界に飛び込んだ溝口監督自身の思いまで投影されているようでもあるのです。

 

★★★☆☆(2025年1月15日(水)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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