【映画評】美徳のよろめき | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。バイデンを年寄り呼ばわりしてきたトランプが、ハリスに年寄り呼ばわりされてしまいます。因果応報とは、このことです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『美徳のよろめき』です。

 

一人の美しく優雅な人妻が倦怠期の訪れとともに邪恋におぼれゆく、美徳によろめく人妻の恋の虚脱を描く文芸巨篇(日活データベースより引用)。1957年公開作品。監督は中平康で、出演は月丘夢路、三国連太郎、葉山良二、高友子、宮城千賀子、安部徹、清水将夫、南田洋子。

 

三島由紀夫のベストセラー小説を原作にして、新藤兼人が脚色し、中平康が監督したメロドラマです。主人公である人妻の恋は邪恋とか姦通とか言われましたが、今だったら不倫です。

 

中平監督のモダンでポップな感覚は、文芸物と絡ませると化学反応を起こすはずでした。三島の『金閣寺』を市川崑監督&和田夏十脚本で映画化した『炎上』は、原作をなぞりながらも異なる物語を創り出していました。

 

三国連太郎や宮城千賀子のキャラクター演出に遊び心があり、中平監督のセンスが表れています。しかし作品全体を見れば、何かしっくりこないものを感じてしまいます。

 

思うに、中平監督も脚色した新藤も本作の中に自己投影できるほど共感できるキャラクターを見出せなかったのではないでしょうか。『炎上』の主人公はオタク気質の市川も反マチズモの和田も共感できるキャラクターだから、そう思えてしまうのです。

 

★★☆☆☆(2024年6月17日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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