どうも。てめえの食い扶持を守るため、就職氷河期に当時の若者をイジメ続け、ひきこもるまで追い込んだクソ世代が「社会が悪いなんて言う若者は甘ったれだ」などとほざくな。てめえらがこしらえた社会のせいだろうが、ボケ!
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『片腕必殺剣』です。
兄弟子たちの謀略で片腕を失い、師匠の元を去った剣士が、やがて師匠の危機を救うために帰って来て戦う。1967年製作の香港映画で、日本劇場未公開作品。監督はチャン・チェで、出演はジミー・ウォング、チャオ・チャオ、ヤン・チーチン、ティエン・ファン。
ジミー・ウォングの出世作となった武侠映画です。本作のヒットがなければ『片腕カンフー対空とぶギロチン』はなく、同作にインスパイアされた『キル・ビル』もなかったことになります。
隻腕というハンディキャップを負った凄腕の剣士という設定は、隻眼隻腕の丹下左膳や盲目の座頭市を思わせます(後にウォングは『新座頭市・破れ!唐人剣』で勝新太郎が演じる座頭市と共演しました)。また主人公が死闘の果てに農夫になることを志すのは『七人の侍』のラストに通じるものがあります。これらに同じアジア圏である日本映画の影響を否定できないはずです。
これを安易にパクリと非難するのは愚かです。他作品のパーツをパッチワークし、オリジナル色の強い作品に仕上げたことは高評価に値します。それこそクエンティン・タランティーノが『キル・ビル』で成し遂げたことであり、日本映画にも外国映画の模倣はよくあることです。
主人公の人生は片腕を失うことによって大きく変わってしまいます。その片腕切断の実行犯は師匠の娘です。お嬢様育ちの娘は主人公と村娘の恋路の邪魔までして、そのトラブルメーカーぶりにイラつきます。まあ、こうした役がいないと物語が進展しないので、プロレスにおけるヒール(悪役)みたいなものです。
古い映画なので細部の粗さは目に付きます。それでもテンポの良いドラマ展開によって気分が高揚し、飽きることはありません。そして先述したとおり、主人公が死闘の果てに武術家としての名声を捨て、農夫になろうとするラストは反戦平和思想であり、戦禍が止まぬ今こそ観るに値する映画なのです。
★★★★☆(2024年5月20日(月)インターネット配信動画で鑑賞)
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