どうも。期間限定販売の記念硬貨ではなく、これから何十年も手にするであろう新札をありがたがる奴らは愚民の極みですね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『籔の中』です。
平安時代、とある山中の籔の中で、旅の途中の若い武士・金沢武弘とその妻・真砂が、多襄丸という盗賊に襲われた。多襄丸は武弘を木に縛り付け、その眼前で真砂を犯す。行為の後、真砂は凌辱された一部始終を武弘に見られたことに堪えられず、武弘を殺してくれと多襄丸に叫んだ。多襄丸はためらいながらも無我夢中で武弘を殺した(映画.comより引用)。1996年公開作品。監督は佐藤寿保で、出演は松岡俊介、坂上香織、細川茂樹、白石ひとみ、中園広美、ジーコ内山、高杉亘。
芥川龍之介原作の小説『籔の中』を実写映画化した時代劇です。ピンク映画界で活躍していた佐藤寿保監督の一般映画デビュー作です。
同じ原作の映画化には、黒澤明監督の『羅生門』があります。どうしても同作と比較されてしまう本作は、エロとオカルトを加える新解釈で対抗しようとします。しかし、それによって原作が有する知的ミステリー的な面白さが薄れています。
『羅生門』で三船敏郎が演じた多襄丸役を、高杉亘が演じています。ワイルドな高杉なので、それほど演技は悪くありません。「松田優作が多襄丸役を演じたら、こうなるのかな」という気持ちで観ることができます。他方で真砂役の坂上香織は『羅生門』の京マチ子に遠く及びませんけど。
『羅生門』以後、本作のみならず『MISTY』や『TAJOMARU』など数多くのリメイクやオマージュが作られました。しかし、どの作品も討ち死にして、結局『羅生門』の素晴らしさを補強したに過ぎないのです。
★★☆☆☆(2024年5月13日(月)インターネット配信動画で鑑賞)
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