【映画評】キャビン・フィーバー2 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。物価上昇対策の「節約術」は、戦時中の「欲シガリマセン勝ツマデハ」と同じく、マスコミによって大衆を飼い馴らす詐術です。本当に必要なのは無能無策な政財界に立ち向かう「闘争術」です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『キャビン・フィーバー2』です。

 

高校生活のラストを飾るプロム・パーティが開かれる夜。思いを寄せるキャシーからデートを断られたジョンは、親友アレックスと一緒にパーティに参加する。その会場に運ばれてきたミネラルウォーターには、森のキャビンを襲った恐怖のウィルスが混入していた。ウィルスにむしばまれた生徒たちは、次々と血まみれになって絶命していく(映画.comより引用)。2009年製作のアメリカ映画で、日本劇場未公開作品。監督はタイ・ウェストで、出演はノア・セガン、ラスティ・ケリー、アレクシ・ワッサー、ジュゼッペ・アンドリュース、ライダー・ストロング。

 

イーライ・ロスの監督デビュー作『キャビン・フィーバー』の続編です。ロスは『ホステル』や『グリーン・インフェルノ』でホラー監督としての地位を確立しました。本作の監督であるタイ・ウェストも『X』とその続編『Pearl』で高評価を受けています。この2人に関して言えば、本シリーズはホラー監督として出世できる縁起物だと言えます。

 

前作の主人公ポール(ライダー・ストロング)がウィルスに感染しながらも、何とか山から脱出したところ、スクールバスに轢かれて木っ端微塵になるという景気付けの打ち上げ花火のようなオープニングから物語は始まります。これで前作から続けて出演するのが保安官代理役のジュゼッペ・アンドリュースだけになり、前作の人間関係を引きずらなくなります。

 

ウィルスがミネラルウォーターに混入するまでの経路は、どうしても説明的な演出になり、しかも時間もお金もかかるので、ポップなアニメで表現されています。エンディングでウィルス感染がどうなっていくかもポップなアニメで表現されており、ウェスト監督のセンスの良さを感じさせます。

 

ミネラルウォーターが高校に到着してから、主人公ジョン(ノア・セガン)たちの青春コメディが始まります。それがウィルス感染爆発によって凄惨な地獄絵図に変わります。感染者が血ゲロを吐きまくるプロム・パーティーは、グロさだけならば『キャリー』を超えています。

 

このプロム・パーティーでの惨劇には、モテるリア充に対するモテない非リア充の怨念が反映されています。同志であるモテない非リア充であっても、パーティーに参加すれば裏切り者として「処刑」されるほど、本作は徹底しています。結局パーティーに参加しない非リア充だけが何ら被害を受けません。

 

高校卒業後、社会の不条理に直面し、それと戦い続けるであろう若者たちが不治の危険ウィルスに感染し、助かろうとしても白い防護服を着た大人たちが問答無用に射殺しに来るという最凶最悪の不条理に見舞われるのは皮肉めいています。そして、この不条理な物語は、新型コロナウィルス感染拡大による災厄が現実の人類に降りかかる前、既に映画という虚構の世界で描かれていたのです。

 

★★★☆☆(2024年5月7日(火)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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