どうも。大型連休にノーマスクで人混みの中を行ったり来たり。それで新型コロナウィルス感染者数が増加したら、日本人は学習能力と危機管理能力のないボンクラ能天気な人たちと評価されます。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『海峡、血に染めて』です。
故郷の対馬に配属された海上保安官が密輸密航事件を探るうちに兄の関与を知る。1961年公開作品。監督は鈴木清順で、出演は和田浩治、清水まゆみ、葉山良二、藤村有弘、山岡久乃、郷鍈治、初井言栄、高原駿雄、稲葉義男、英百合子、浜田寅彦。
日活在籍時の鈴木清順監督版『海猿』……ではありません。安っぽいヒロイズムを売り物にすることなく、海上保安官の弟(和田浩治)と密輸団に加担する兄(葉山良二)の対立を軸に描かれる海上アクション映画です。
キャバレーのマダム役の初井言栄とホステス役の山岡久乃が若くて綺麗です。二人が年配者になってからの姿しか知らない世代は驚くでしょう。
鈴木監督のトリッキーな演出は控えめで、割と堅実な演出で撮影されています。それは撮影協力した海上保安庁がうるさいからなのか、『くたばれ愚連隊』からの和田主演シリーズに飽きたからなのかは分かりません。
本作で描かれる高学歴の新人海上保安官に対する組織内部の蔑視は、現代の自衛隊内部での高学歴新人に対する脳筋バカ体育会系イジメに受け継がれています。因みにアメリカの軍隊で博士号を取得している高学歴軍人は重用され、幹部に昇進することは珍しくないそうです。
また本作の密輸団は韓国人密入国の手助けで稼いでおり、それは現代の東南アジアで日本の人材派遣ブローカーが外国人労働者から搾取する稼ぎ方に受け継がれています。奴隷商人を気取る日本の業者が、海外における日本の評価を低下させているのは間違いありません。
コンプライアンスという概念が定着していなかった時代に描かれた不適切な問題は、半世紀以上も経た今も解決されることなく不適切なままだと知るのです。
★★★☆☆(2024年4月11日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
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