【映画評】花咲く港 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。先制攻撃した側(イスラエル)を責めず、自衛権を行使して反撃した側(イラン)を責める国際社会(というか英米)は、小学校の学級会より不公正な場です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『花咲く港』です。

 

舞台は南九州の、とある小島。15年前、その地に造船所を造ろうとして人々に尊敬されていた男の遺児を名乗る男がふたり、島にやってきた。兄弟を装うこのふたり、実はペテン師なのだが、あまりにも島の人々が善良過ぎることに、逆に戸惑いを隠せない。そんな折、太平洋戦争が勃発し……(木下恵介生誕100年プロジェクトより引用)。1943年公開作品。監督は木下恵介で、出演は小沢栄太郎、上原謙、水戸光子、笠智衆、東野英治郎、坂本武、東山千栄子、半沢洋介、村瀬幸子。

 

木下恵介の監督デビュー作です。新人監督とは思えないほど、落ち着いた演出を見せてくれます。

 

ペテン師役の一人である小沢栄太郎の外見は、どことなく森繁久彌に似ています。もう一人のペテン師役を演じる上原謙は、二枚目スターでありながら東北訛りのコミカルな演技を見せます。素は三枚目だと言われる上原は、『クレージー作戦 くたばれ!無責任』でも東北訛りの社長役を演じました。

 

ペテン師二人は軽い気持ちで島を訪れ、嘘話で一儲けしようと企みます。しかし嘘話を信じ込む島民の人の好さ、更に太平洋戦争開戦によって途中離脱できなくなります。この流れは喜劇として良くできています

 

戦時中の作品ゆえに反戦的な内容を描くことはできません。笠智衆が好戦的なキャラクターを演じているのは、戦後の小津安二郎や山田洋次の作品で演じている穏やかなお爺さん役とのギャップで驚きます。それでも戦争に対して懐疑的であるかのような含みを持たせています。

 

本作のペテン師二人と異なり、一切改心することなく、多くの人々を騙した大悪党のペテン師は大日本帝国なのです。

 

★★★☆☆(2024年3月6日(水)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)