【映画評】悪魔の墓場 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。照ノ富士が尊富士に送った「記録ではなくて記憶に残りたいんだろう」という言葉は今年の新語流行語大賞候補です。年末まで日本人の記憶に残っていればですが。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『悪魔の墓場』です。

 

害虫駆除用の超音波によって甦った死者が生きた人間を襲って血肉を貪る。1975年日本公開作品。監督はホルヘ・グロウで、出演はレイ・ラヴロック、クリスティーヌ・ガルボ、アーサー・ケネディ。

 

イタリアとスペインが合作したゾンビ映画でも、舞台はイギリスです。イタリア製の西部劇であるマカロニウエスタンと同じ作り方です。

 

日本では日本ヘラルド映画の配給で、『悪魔のはらわた』『悪魔のいけにえ』に続く「悪魔」シリーズ第3弾として公開されました。「悪魔」シリーズと言っても、それは配給会社が付けた邦題で一緒にされただけで、各作品に繋がりはありません。

 

ゾンビ映画の歴史としては『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』と『ゾンビ』の間にあります。それでも『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』より先に日本で公開されたので、日本で初めて紹介されたゾンビ映画という称号を得ています。

 

映画においてゾンビが発生する原因としては、ブードゥー呪術や新型ウィルス感染がありがちです。ところが本作では特殊な超音波が原因であり、古い映画ながら斬新な発想です。人間が科学を乱用することによって自然の生態系が破壊されるという環境保護メッセージを含んでいるようにも解釈できます。

 

主人公のジョージ(レイ・ラヴロック)はロンドンに住む古物商で、届け物をする途中に寄った田舎で騒動に巻き込まれます。長髪で髭面のジョージはヒッピー扱いされ、古臭い頑固者のマコーミック巡査部長(アーサー・ケネディ)に目を付けられ、犯人扱いされます。これは都会のヒッピー対田舎の保守層という対立構図であり、『イージー・ライダー』と共通します。

 

本作の結末は『イージー・ライダー』の復讐のようであり、ゾンビ大増殖を匂わせる未解決な感じも悪くありません。製作当時の時代の空気が反映された意外な良作なのです。

 

★★★☆☆(2024年2月18日(日)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

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