【映画評】現代性犯罪絶叫編 理由なき暴行 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。懐かしいレトロなものが「昭和の○○」と形容されることはあります。しかし30年前のものであれば、正確には「平成の○○」です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『現代性犯罪絶叫編 理由なき暴行』です。

 

青森から上京してきた大学生、浪人生、旋盤工の男三人。金も夢も希望もない怠惰で底辺の生活。ただただひたすらセックスのことばかりを考えている。輪姦、のぞき、同級生との再会・・・そして、ある日突然彼らの運命が急変する(DVD商品説明より引用)。1969年公開作品。監督は若松孝二で、出演は村岡博、坂口俊正、城一也、東条瑛、江島裕子、浅香なおみ。

 

若松孝二監督のピンク映画です。ピンク映画と言っても、若松作品なので濡れ場は少なく、あっても現代の価値基準で見れば、それほどエロくありません。

 

全編ほぼモノクロの中、カラーになる部分はアパートの隣人が性交するのを覗き見るシーンです。覗き穴から見ているような画面になっており、覗きの臨場感を味わえる実験的な演出です。

 

60年代末期の新宿を舞台にして、社会の日陰で悶々と暮らす若者たちの生態を描いています。脚本の名義は若松作品恒例の「出口出」ですが、実際は主演の3人によるものだそうです。それ故、本作の台詞は当時の若者の心情が生々しく反映されています。

 

何をやっても上手くいかない3人は夢も希望もない末路を辿ります。そして永山則夫による連続射殺事件を思わせるラストには、不良少年時代の恨みから映画の中で警官をぶっ殺すために映画監督になった若松の思いも反映されているのです。

 

★★☆☆☆(2024年1月8日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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