【映画評】歌え若人達 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。新しいものは絶対に正しいと思い込むのが田舎者です。都会から来た詐欺師がDXだのAIだの流行りの言葉をちらつかせれば、そんな田舎者は簡単に騙されます。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『歌え若人達』です。

 

ある大学の寮に住む4人の学友。その中の裕福で要領の良い宮本とは真逆の境遇でマイナス思考の森は、その絶望的な顔を週刊誌の表紙に撮られたことで一躍話題の人となり…(松竹・映画作品データベースより引用)。1963年公開作品。監督は木下恵介で、出演は松川勉、三上真一郎、山本圭、川津祐介、岩下志麻、富士真奈美、倍賞千恵子、東山千榮子、京塚昌子、三島雅夫、津川雅彦、山本豊三、柳家金語楼、益田喜頓、渥美清、佐田啓二、岡田茉莉子。

 

木下恵介監督の青春コメディー映画です。木下の助監督を務めていた山田太一が脚本を書きました。山田がシリアスな脚本にしたにもかかわらず、木下はコメディー調で演出したそうです。

 

お正月映画ということでキャストが豪華です。その分、個々人の出演シーンは短いです。それでも目を引いたのは、若い頃の岩下志麻の美しさです。

 

本作で描かれる大学生たちは、学生運動など政治と無縁な生活を送っています。当時、政治に熱狂していたインテリ学生が見れば、非現実な世界に映るでしょう。また松竹ヌーヴェルヴァーグと呼ばれた、新しい映画表現を追求する大島渚、篠田正浩、吉田喜重らの作品に出演した俳優も本作の世界に取り込んでいます。

 

既に大人であった木下監督にとっては、学生運動も松竹ヌーヴェルヴァーグも若者の一時的流行としか思えなかったのでしょう。それ故、本作には木下監督の流行に乗らない反骨精神反抗する若者を受け止める大人の度量が表れていると解するのです。

 

★★☆☆☆(2024年1月2日(火)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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