【映画評】現金と美女と三悪人 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。戦後日本の繁栄を築いたのは、戦禍を生き延び、汗水たらして働いた人たちであり、戦争で亡くなった人たちではありません。幽霊が会社や工場で働けると本気で思っているなら、早く医療や福祉のお世話になってくださいね。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『現金と美女と三悪人』です。

 

現金を持って逃亡中の強盗、その人質にされた美女、現金を狙う医者くずれの三悪人が北海道に辿り着く。1950年公開作品。監督は市川崑で、出演は藤田進、利根はる恵、堀雄二、東野英治郎、進藤英太郎、田中春男、山本礼三郎。

 

市川崑が新東宝在籍時に監督した作品です。公開当時のタイトルは『熱泥池』ですが、その縮尺版である本作のタイトルは『現金と美女と三悪人』です。本作の藤田進が出演した『隠し砦の三悪人』にあやかったタイトルかどうかは、縮尺版の公開日が不明なので分かりません。

 

北海道に向かう船内での密室サスペンス、広大な北海道での追跡アクションには洋画の影響を見ることができます。市川監督のモダンなセンスが発揮されています。

 

北海道上陸後、主人公に協力するのはアイヌ人です。これは西部劇におけるアメリカ先住民の役割を置換した設定でしょう。北海道の先住民であったアイヌ人は滅びゆく少数民族であり、彼らへの差別については、成瀬巳喜男監督の『コタンの口笛』で描かれています。社会派映画ではなく、娯楽映画である本作でもアイヌ人の存在を否定せず、しっかりと作品に組み込んでいます。

 

そうした昭和の映画人たちの良識を知れば、アイヌ人への差別的投稿を繰り返す杉田水脈議員は令和の恥であり、彼女こそ早く滅びればいいのにと思うのです。

 

★★☆☆☆(2023年11月18日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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