【映画評】アメリカの悲劇 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。ニューヨーク、ロンドンどころかソウル、タイペイ、マニラでも反イスラエル・親パレスチナの大規模デモがあったにもかかわらず、東京の渋谷ではハロウィンが話題の中心という平和ボケ能天気ぶり。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『アメリカの悲劇』です。

 

故郷のカンザスを追われた男が親類を頼ってシカゴの工場で働き始め、女工と恋に落ちる。その後、富豪の女性と知り合い、出世欲のために女工を捨てるのだが、彼女は妊娠していた(DVDの商品説明より引用)。1931年日本劇場公開作品。監督はジョセフ・フォン・スタンバーグで、出演はフィリップ・ホームズ、シルヴィア・シドニー、フランシス・ディー、アーヴィング・ピシェル、クレア・マクドウェル、ルシル・ラ・ヴァーン、フレデリック・バートン、ウォーレス・ミドルトン。

 

実際にあった事件を基にした小説を映画化した作品で、1951年に『陽のあたる場所』としてリメイクされました。同作が上流社会と下流社会の違いを画面の陰影で表現する映画的演出を用いたのに対し、本作はリアリズム重視の演出です。

 

実際にあった事件を基にしている点で、本作(の原作小説)は松本清張の小説(と映像化作品)に近いものがあります。『砂の器』(上流社会入りするために過去を隠滅)と『鬼畜』(小心者が追い詰められて凶行)を合わせると、本作のような映画になりそうです。

 

作品の構成として、まず観客に真実を提示し、それが法廷でどう評価され、主人公クライド(フィリップ・ホームズ)が罰せられるか否かを見せます。事件を報じるマスコミの熱狂検事の挑発的な弁舌陪審員の他人事ぶりなどがアメリカの悲劇を作り上げていきます。

 

クライドにとって終始足りなかったのは勇気です。アメリカン・ドリームを目指した青年は、勇気が足りなかったばかりにアメリカの悲劇の主人公になってしまうのです。

 

★★★☆☆(2023年10月13日(金)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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