民話(動物) 死んだばばコ
ある時、小様の村でしっかり者の「ばばコ」が亡くなりました。とむらいを出した晩、村人達が集まって念仏を唱えていた時、ガラガラと戸口のあく(開く)音がして死んだ「ばばコ」が棒コつぱって入って来ました。
「ああ、さびさび(寒い)今夜霜コおりで、さびでゃ」といって上り場にがたんと棒を立てかけ、素直に仏さまへ行ってりんをならして拝むのでした。村人は、おっかなくて誰も一言も口を開く人がなく気味悪がってぶるぶるふるえていました。
そして次の晩も又次の晩もばばコが来て仏さまを拝むので恐ろしくなりみんなちぢこまってばばコのまるい猫背を見てふるえていました。村に元気者の若勢がいました。その話をきき、「それは、むじなの仕業に相違ない。俺が退治してやる」と言ってそこの家に行ってばばコの来るのを待ちかまえていました。すると同じ時刻にガラッと戸を明けて「ああさびでゃ」と仏さまへ素直に行ってカンカーンとりんコを鳴らして手を合わせて拝んでいました。その後へまわった若勢は持っていたカシの棒で力一杯ばばコの頭をなぐりつけました。人々は、もう恐ろしくなり目をつぶって、なむあみだぶつを唱えていました。人々は目を明けて見ると、ばばコは目をつぶってぐったり死んでいました。
すると村の物しりのじさまは「魔者の化けたのはお天とうさまに照されると、正体を現わすものだ、日に照してみべし」といいました。そこで村人達は朝日の出る頃を待って死がいを引きずって外に出すと、おてんと様に照らされたばばコの死がいは、大きな「むじな」だったということでした。
【私なりの解説】
阿仁町伝承民話第一集にある小様地区に伝わる民話です。私が「ばば(あ)」と聞いて思い出すのは、漫☆画太郎が描くババアです。だから「死んだばばコ」でイメージするのは、この絵です。

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