【民話】地蔵様の話 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

民話(動物) 地蔵様の話

 

 昔あったじょん、あるところに正直な爺(じ)さまと婆(ば)さまがおったじょん、爺さまが庭掃いていたば、豆コァ転(ころ)がっていてあったじぉん。爺さまがアエンもってぇねぁて拾うと思ったば、豆コァころころと穴さ落ちて行ってしまったど、それで爺さまが豆コ豆コどこまで転がって行くなだぁ、そうしたば豆コァ石の地蔵さまの前まで行ぐて、どこまでも転がって行ったので爺さまは豆コつかめぁると思って豆コの後(あと)を追って行ったど、そしてひょいと気が付いて見たば石の地蔵様の前さ立っていたけど。そこで「地蔵さんす、地蔵さんす、豆コァ転がって来なかったべきぁなんす」と聞いたば、「豆コァ来たどもあまり腹へったので俺ァ(おら)はぁ食ってしまったはぁー」。そこで爺さまはくってしまったのだばえあんしはぁー、と戻る気になったば、「爺さんす、爺さんす、豆コの札によいものを見せてやるんて、俺のひざさ上がれ」「あれ、もてぇなくて上がられねあす」「いいから上がれ!!」「そんだば上がらせてもらうんす」

「そしたら肩さ上がれ」「とでもとでももてぇなくて」「いいから上がれ!!」「んだば上がらせてもらうんす」「こんだ頭(あだま)さ上がれ!!」「頭だばもてぇなくてとても上がられねぇんす」「いいから」「んだら上がらせてもらうんす」そして爺さまは、ようやく地蔵様の頭さ上がって前を見たば、赤鬼だの青鬼だのいっぱいいて、その前さ銭(ぜ)んこ一ぱい置いて、ばくちをしていたど、鬼どもは「さあ早くやってしまうべし」そうしたら地蔵様は低い声で「ニワトリの鳴く真似すれ」と言ったので爺さまはソデの中に手を入れてバタバタとはばたきの音をさせ「コケコッコー」とニワトリの鳴く真似をしたば、鬼ど、びっくりして「さあ一番どり鳴いた、夜が明けて人に見られれば大変だんて早く勝負をつけべし」そしたら少したってから地蔵様が、また「ニワトリの鳴く真似をすれ」と言ったので、前のようにバタバタと羽ばたきの真似して「コケコッコー」と鳴き出したど。

 そうしたば鬼どぁ、あわててしまって「さぁ今夜が明ける」と、そこさ銭コ置いたまま、どこさが行ってしまったど。

 したば地蔵様が、「爺さま、おめぁ、いつも正直な人だんて、その銭コお前さけるんてみな持って行がんせ」。それで爺さまは容れ物がねぇんて半てんを脱いで銭コを包んで、「地蔵様どうもありがとうあんした」と言って家さ戻って来て婆さまさ銭コ見せていたば、となりの意地悪爺さまが、その銭コもらった話を聞いて、自分もほしくなったので、わざと豆ッコ庭さ落して無理に穴さ押しこんでやったど。そして爺さまも豆コの後を追って行ったば、やっぱり地蔵様の前さ行がさったど。「地蔵さんす地蔵さんすこごさ豆コァ来ねぇがったべが」と聞いたば、「豆コだば、俺の足元にあるんて」と言ったので爺さまがその豆を拾って地蔵様の口さ無理に入れてやったど、そして地蔵様がなんもしゃべねぇ中に地蔵様のひざさ上がってしまったど、そしてこんだぁ肩さ上がったど、そして地蔵様がなんもしゃべねぇやず頭さ上がったど、そして前を見たばやっぱり鬼どもが一ぱいいて、ばくち打ちしていだけど、地蔵様がなんもしゃべねぇやず爺さま一人してニワトリの鳴く真似してしまったど、そしたば鬼ど「ユベナ俺ぁどだましたのはこの爺さまだべ、よぐも、よぐも俺ぁど、だましたな」と言って赤鬼だの青鬼だのに頭だの面(つら)だの引っかかれて血だらけになり、泣きながら家さ戻ったど、

 その時、地蔵様が「爺さんす爺さんす、お前いつも、よその人たちさ意地悪するために鬼に罰当てられたべ、んだんて悪いことするもんでねぁ」と地蔵様に言われたど。

トッピンパリノピー

 

【私なりの解説】

阿仁町伝承民話第一集にある銀山地区に伝わる民話です。話者に忠実な口述筆記のため、秋田県出身者以外の人には読解困難な文章になっています。内容は「花咲かじいさん」や「こぶとりじいさん」と同じパターンです。

 

 

 

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