【映画評】ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。近所の郵便局からアパカレーが消えたのを見て、「もっと早く消えてよかったのに」と思いましたよ。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』です。

 

ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年、政府がひた隠す真実を明らかにすべく奔走した人物たちの姿を描いた。リチャード・ニクソン大統領政権下の71年、ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をニューヨーク・タイムズがスクープし、政府の欺瞞が明らかにされる。ライバル紙でもあるワシントン・ポスト紙は、亡き夫に代わり発行人・社主に就任していた女性キャサリン・グラハムのもと、編集主幹のベン・ブラッドリーらが文書の入手に奔走。なんとか文書を手に入れることに成功するが、ニクソン政権は記事を書いたニューヨーク・タイムズの差し止めを要求。新たに記事を掲載すれば、ワシントン・ポストも同じ目にあうことが危惧された。記事の掲載を巡り会社の経営陣とブラッドリーら記者たちの意見は対立し、キャサリンは経営か報道の自由かの間で難しい判断を迫られる(映画.comより引用)。2018年日本公開作品。監督はスティーヴン・スピルバーグで、出演はメリル・ストリープ、トム・ハンクス、サラ・ポールソン、ボブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ、ブラッドリー・ウィットフォード、ブルース・グリーンウッド、マシュー・リース。

 

スティーヴン・スピルバーグ監督による実話ベースの社会派ドラマです。メリル・ストリープとトム・ハンクスという実力派俳優同士の共演も見所です。

 

スピルバーグ監督は本作をサスペンスとして演出しています。次々と降りかかる困難、記事の掲載までのタイムリミットで作品に緊張感を与えるのはサスペンス演出です。人が死ななくてもサスペンスは作れます。いや、新聞社が記事の掲載を遅らせ、ベトナム戦争が長引けば人は死にます。

 

亡き夫が遺した新聞社を引き継いだキャサリン(ストリープ)は、記事の掲載について重大な判断を下します。それは非マッチョがヒーローになるという『ジョーズ』から何度も見られたスピルバーグ作品の定番パターンです。そしてキャサリンがヒーローになるのは女性の自立を描いています。

 

キャサリンを苦悩させる困難を仕向けるのはニクソン大統領です。自己保身のために卑劣な手段で権力行使するニクソンへの裁きがラストで示されています。その続きは『大統領の陰謀』をご覧になってください。

 

本作の時代設定は今から半世紀も前です。政権を監視して不正があれば批判するマスコミの役割、その役割を保障するための報道の自由を守り続けたことによってアメリカは発展してきました。それに対し、政権への監視を怠って忖度するマスコミが報道の自由を捨て、半世紀以上も前の時代に逆行しようとする現代日本が衰退していくのは当然のことなのです。

 

★★★★☆(2023年5月13日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

 

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