どうも。与党に多数議席を与えておきながら「野党はだらしない」というのは、両手両足をロープで縛ったボクサーを試合のリングに上げ、文字どおり手も足も出ないのを「だらしない」と言うのに等しいです。バカですか?
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『処女のはらわた』です。
ポスター撮影を終えた撮影隊が帰り道で迷い、古びた洋館で一夜を過ごそうとするが、そこは殺人鬼の住処だった。1986年公開の日活ロマンポルノ作品。監督はガイラ(小水一男)で、出演は木築沙絵子、萩尾なおみ、川島めぐみ、加藤大樹、鶴岡修、高橋秀樹、郷田和彦。
1980年代、家庭用アダルトビデオの普及によって衰退していた日活ロマンポルノが、その勢いを盛り返すため、ポルノとスプラッターホラーを合体させた作品です。
設定は『悪魔のいけにえ』や『13日の金曜日』に近く、地面すれすれのローアングルでカメラを移動させるテクニックは『死霊のはらわた』の模倣です。作り手がスプラッターホラーについて勉強していた成果が見えます。
人体破壊のグロ描写については、低予算ながら頑張っているという印象です。下請けである六月劇場が製作し、日活は配給のみ関わるという体制では、それが限界だったのかもしれません。
ポルノとホラーの合体という実験的な試みですが、二つの点で中途半端な出来になっています。一つ目はモテ系リア充から先に殺さなかったことです。ホラー映画ではモテ系リア充が先に殺されるというのが定番です。ホラー映画を観に来る客の大半は非モテ系の非リア充(偏見)であり、スクリーン上でモテ系リア充が殺されることによって日頃の鬱憤を晴らすものです。しかし、本作においてモテ系リア充を先に殺すと、そこから先の濡れ場シーンが続かなくなるので、ホラー映画の定番から外れざるを得なかったのでしょう。
ちなみに、本作でモテ系リア充のチャラいカメラマン役を演じている加藤大樹は北秋田市出身であり、現在はUターンして同市に在住しています。
二つ目はストーリー部分より濡れ場シーンを長くしていることです。おそらくアダルトビデオに対抗するために、そうしたのでしょう。しかし、実用的な濡れ場シーンより余計なストーリー部分をしっかり撮ることがロマンポルノを映画たらしめているのであり、そのスタンスがなければ、映画としてのロマンポルノらしさが損なわれてしまいます。
結局本作の試みは中途半端な結果となり、日活ロマンポルノの衰退を止めるには至らなかったのです。
★★☆☆☆(2023年4月19日(水)インターネット配信動画で鑑賞)
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