どうも。同性婚などLGBTに関する問題は、自分と異なる他人の価値観に対して、どれほど寛容であるか不寛容であるかを問いています。不寛容である国はロシアや中国であり、日本はそちらの陣営に入るつもりでしょうか。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ザ・マミー』です。
11歳の少女エストレヤは、ギャングに連れ去られ行方不明になった母を捜すため家を出る。やがて、いるはずのない母の話し声が聞こえたり、誰かに腕をつかまれて引きずり込まれそうになったりと、エストレヤの周囲で奇妙な出来事が続発するように。そしてギャングのメンバーであるカコが何者かに殺害されると、また母の声が聞こえてくる。その声は、カコを殺した男がエストレヤを捜しに来ると警告し、男を自分のもとへ連れてくるよう告げるが……(映画.comより引用)。2019年日本公開作品。監督はイッサ・ロペスで、出演はパオラ・ララ、フアン・ラモン・ロペス、イアニス・ゲレロ、ホドリゴ・コルテス、アンセル・カシーリャス、ネリ・アンドレド、テノック・ウエルタ。
メキシコ製のダークファンタジーホラー映画です。世界各地の映画祭で51部門受賞したそうです。
エストレヤ(パオラ・ララ)ら孤児たちを中心にしてストーリーが展開します。メキシコの孤児問題は1950年製作の『忘れられた人々』の時代と変わっていません。愚かな大人たちの被害者は子供たちです。
エストレヤは死者の声を聞いたり、死者の姿を見たりします。この設定は、帰って来る死者の魂を迎える「死者の日」という祭りがあるほど、死者との距離感が近いメキシコだから自然なのでしょう(日本にも「お盆」があるのでは?というツッコミは無視します)。
過酷な境遇にある少女が幻想的な体験をするのは、メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督による『パンズ・ラビリンス』と似ています。あまりにも残酷な現実を受容するため、幻想的なものに脳内変換するのでしょう。少女にそこまで強いるのは非道な大人社会です。
『忘れられた人々』と『パンズ・ラビリンス』に比べれば、本作は希望的なラストシーンです。甘いハッピーエンドより苦いバッドエンドを好む私でも、現実の世界が絶望に溢れているから、映画という虚構の中だけでも希望を見たい気持ちは理解できるのです。
★★★☆☆(2023年4月15日(土)インターネット配信動画で鑑賞)
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