どうも。プロレスラー武藤敬司引退の翌日に、3月末で『タモリ俱楽部』終了を知った時の驚きと喪失感。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ラスベガスをやっつけろ』です。
1971年、ジャーナリストのラウル・デュークと弁護士ドクター・ゴンゾーはバギーレースを取材するため、真っ赤なスポーツカーに大量のドラッグを詰めこんでラスベガスへと向かう。しかし、ドラッグまみれの2人は行く先々で騒動を巻き起こし……(映画.comより引用)。1999年日本公開作品。監督はテリー・ギリアムで、出演はジョニー・デップ、ベニチオ・デル・トロ、クリスティーナ・リッチ、キャメロン・ディアス、トビー・マグワイア、エレン・バーキン。
ベトナム戦争中のアメリカの空気を描いたドラッグ体感型映画です。そのため、ストーリー展開は意図的に支離滅裂にされています。
デューク役を演じるジョニー・デップは、ハゲたヤク中のおっさんという衝撃的なルックスです。これはデュークのモデルである原作者ハンター・S・トンプソンに似せたからだそうです。更にゴンゾー役のベニチオ・デル・トロは太っており、若いヒッチハイカー役のトビー・マグワイアはハゲた金髪ロン毛という役作りをしたので、一見すると誰が演じているか分かりません。
『未来世紀ブラジル』などのテリー・ギリアム監督は独特の世界観を有することで知られています。本作では独特のビジュアルセンスと撮影技法によって、現実世界とヤク中の見る幻覚の境界線を曖昧にしています。
デュークとゴンゾーの破天荒で無軌道な行動は、自由を体現したものです。当時のアメリカで自由を求めたヒッピー・ムーヴメントは、長引くベトナム戦争の反動でした。社会の空気を硬直化させる戦争を止めないアメリカで自由を感じられるのは、デュークとゴンゾーのようにドラッグでラリッている時だけなのかもしれません。
それだと本作はドラッグ推奨映画になりそうです。しかし、デュークとゴンゾーが見る幻覚の気持ち悪さや、ドラッグの副作用で嘔吐するゴンゾーのカッコ悪さから、むしろアンチドラッグ映画になりそうなのです。
★★★☆☆(2023年1月28日(土)インターネット配信動画で鑑賞)
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