【映画評】泥棒成金 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。何かと前科持ちの唐十郎が文化功労者に選ばれたことは、芸能界にいる前科者たち(専ら薬物犯罪)に希望を与えたはずです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『泥棒成金』です。

 

屋根を飛び回る姿から「猫(キャット)」と呼ばれた宝石泥棒のジョン・ロビーは、今は足を洗い、仮釈放の身で自由気ままに暮らしていた。しかし、ある時、リゾート地の高級ホテルから次々に宝石が盗まれる事件が発生する。その手口がかつてのロビーのそれと同じことから、警察はすぐさまロビーを捕らえようとするが、身に覚えのないロビーは警察の手を逃れ、独自に調査を開始する。自分の偽物が狙いそうな高価な宝石をもった金持ちの旅行客に近づき、犯人を捕らえようと考えたロビーは、保険会社のヒューソンの協力を得て、アメリカ人女性のジェシーとその娘で若く美しいフランセスの2人に近づく。しかし、ロビーとヒューソンが目を光らせていたにもかかわらず、母娘の宝石が盗まれてしまい……(映画.comより引用)。1955年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はケイリー・グラント、グレイス・ケリー、ジェシー・ロイス・ランディス、ジョン・ウィリアムズ、シャルル・ヴァネル、ブリジット・オーベール。

 

アルフレッド・ヒッチコック監督作品です。アメリカ映画なのにフランスを舞台にしている本作は、フランスと同じヨーロッパであるイギリス出身のヒッチコックだから監督できたのでしょう。もしアメリカの田舎で生まれ育った者が監督したら、ヨーロッパらしさを理解できず、粗が目立つ失敗作になったのかもしれません。

 

元宝石泥棒のロビー(ケイリー・グラント)は、その軽快な身のこなしから「猫(キャット)」と呼ばれていました。日本には「鼠小僧」という泥棒がいましたが、西洋では猫なのですね。連続する宝石窃盗事件の犯人をキャット=ロビーだと睨んだ警察は、ロビーを追いかけます。濡れ衣を着せられたロビーは警察の追跡をかわしながら、真犯人を探します。この二重の追跡が物語の中心になります。

 

ヒッチコック作品では、何かに追われる、または何かを追うというシチュエーションが定番です。本作における二重の追跡はド真ん中のヒッチコック流であり、後世のサスペンス映画でも模倣されています。

 

ロビーが追う真犯人の正体は終盤まで分かりません。この「犯人は誰?」という謎で観客の興味を惹き続けます。その点で本作はミステリー要素もあります(ミステリー物には、『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』のように冒頭で犯人を明らかにする倒叙という形式もあります)。

 

サスペンスとしてもミステリーとしても良質で、南フランスの景観とグレース・ケリーの美貌まで楽しめる本作は優れた娯楽作品なのです。

 

★★★☆☆(2021年10月16日(土)DVD鑑賞)

 

 

 

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