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そんな愚痴はさておき、映画の感想文を書きます。今回は『壁の中の秘事』です。
団地という閉鎖的空間に渦巻く住人たちの悶々とした感情を描くピンク映画。1965年公開作品。監督は若松孝二で、出演は藤野博子、吉沢京夫、寺島幹夫、可能かづ子、野上正義。
若松プロダクション第1回製作作品にして、ベルリン国際映画祭正式出品作品です。ピンク映画が国際映画祭に出品されたことで、当時は良識派から「国辱映画」と非難されたそうです(因みに、この時に落選したのは増村保造監督&勝新太郎主演の『兵隊やくざ』です)。
そうは言っても、映画祭の事前選考で内容を観て判断したのですから、結果を素直に受け入れるべきでしょう。それにピンク映画としては、あまりエロくありませんから(若松孝二監督作品の多くはエロが弱いので、ポルノ映画としての「実用性」を欠いています)。
本作はエロより政治色が強い社会派作品です。劇中に散りばめられたスターリンの肖像、原爆症のケロイド、ベトナム戦争報道は戦後日本を取り巻く状況を表しています。
昔の学生運動同志と不倫関係にあり、団地の外の世界に出ようと欲する主婦(藤野博子)と、親の期待が重圧となり、受験勉強するふりをして覗きと自慰に明け暮れる童貞浪人生(野上正義)の悶々とした日常が描かれます。その二人が出会った時、悲劇が起こります。
団地という無機質な閉鎖的空間は、日本の閉塞的状況のメタファーです。壁によって外界から遮断された団地では、平和な日常が続いています。その状況下で、住人は発散できないエネルギーを溜め込み、悶々として生活しています。若松監督は、そのエネルギーの蓄積と暴発を描くことによって、上っ面だけ平和な日本を挑発しているのです。
★★★☆☆(2020年4月24日(金)DVD鑑賞)
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