どうも。外出自粛で暇だから、YouTubeを観まくる人がいるでしょう。しかし、「ネットに真実がある」なんて大嘘で、広告収入稼ぎのため、フェイクニュースをでっち上げるクソYouTuberもいるのでご注意ください。特に「日本スゴイ!」系の動画は怪しいです。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『痴漢電車盗み撮り 上から下から』です(痴漢も盗撮も犯罪です。ダメ絶対!)。
盗み撮りの名人である新兵と体当たりヤラセ取材の倫子がスクープ合戦を繰り広げる。1985年公開のピンク映画。監督は滝田洋二郎で、出演は真堂ありさ、彰佳響子、橘美枝子、螢雪次朗、ルパン鈴木。
滝田洋二郎監督の「痴漢電車」シリーズ最終作で、公開時のタイトルは『痴漢電車 奥まであと1㎝』です。
冒頭から新兵(螢雪次朗)が満員電車内で痴漢と盗撮に励んでいます。痴漢も盗撮も犯罪であり、許されないのは勿論ですが、これはフィクション内の出来事です。しかし、その理屈は当時の国鉄に通用しないので、本作の車内シーンをゲリラ撮影で行ったことは明らかです。
盗み撮りの名人である新兵は、大物アイドル同士の熱愛スクープを狙います。そのカップルがマサヒコとアキナという名前であるのは、1985年という公開年を考えれば、随分と攻めた設定です。
新兵の商売敵である倫子(真堂ありさ)は、自分の肉体を武器にした体当たりヤラセ取材で、大物落語家のスクープを狙います。落語家が弟子と二人羽織の稽古をしている最中に訪問し、誘惑して押し倒され、二人羽織プレイという面白シーンを見せてくれます。
新兵と倫子が更なるスクープを狙う中、過熱するスクープ合戦を社会的害悪だとして写真週刊誌を潰そうとする政治家(ルパン鈴木)が現れます。この政治家は表で綺麗事を言いながら、裏で芸能事務所から新人アイドルを貢がせ、変態プレイを強要するクソ野郎です。表現の自由を抑圧する国家権力に対する滝田監督の敵意が表現されたキャラクターです。結局、政治家は新人アイドルに成りすました倫子の罠にはまり、失脚することになります。
スクープ合戦を続ける二人に訪れる結末は、いつしか二人も他社の写真週刊誌からスクープの標的にされているというものです。当時の写真週刊誌(フライデーとフォーカス)の異常な過熱報道を風刺したオチになっています。
ピンク映画という予算的に制約が厳しいジャンルにおいて、反体制なロック精神を軸にしてサービス精神に溢れるエンターテインメントを生み出す滝田監督の実力が内田裕也に評価され、本作公開の翌年に『コミック雑誌なんかいらない!』で一般映画デビューします。その後、滝田監督はメジャーな日本映画界で活躍し、『おくりびと』で米国アカデミー外国語映画賞を受賞するまでに至るのです。
★★★☆☆(2020年4月16日(木)DVD鑑賞)
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