どうも。イギリスはEUを離脱してしまえばいいのです。「EUを離脱した国はどうなるか」や「国民投票はどんな結果をもたらすか」という他国や後世の人々に役立つ実験結果を得られますから。それでイギリスが没落しても、それは自業自得です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『東京流れ者』です。
ヤクザ稼業から足を洗おうとした男が、またヤクザの世界に巻き込まれていく日活アクション映画。1966年公開作品。監督は鈴木清順で、出演は渡哲也、松原智恵子、玉川伊佐男、江角英明、北竜二、川地民夫、二谷英明。
渡哲也が映画デビューして2年目の頃なので、若々しいです。後に『西部警察』の大門役で見せる凄みは、まだありません。どことなく、遠縁の親戚であるテニスプレイヤー錦織圭に似ています。
原作と脚本は、『月光仮面』や『レインボーマン』の原作者で、『伊勢佐木町ブルース』や『おふくろさん』の作詞者でもある川内康範です。あの耳毛が長いお爺さんです。おそらく川内は、しっかりと真面目な脚本を書いたのでしょう。そして石原裕次郎や小林旭が主演するような典型的な日活映画になる予定だったでしょう。
しかし、鈴木清順が監督することにより、良い意味で不真面目な映画になっています。格子越しの奇妙なショット、舞台劇のように真横から撮るアクションシーン、唐突なジャンプカットなど所々に「?」を感じさせる演出を施しています。ストーリーや台詞は脚本どおりでも、どう見せるかにクセの凄さ(©千鳥ノブ)を発揮しています。
その清順演出に、美術の木村威夫も一緒になって遊びます。終盤の対決シーンでは、真っ白な部屋で真っ白なスーツを着た渡が銃撃戦を行います。設定を考えれば、非現実的な光景です。鮮血の赤さを際立たせるための白なのか、渡が演じる主人公の心情を可視化した白なのか、解釈は人それぞれです。ここでも観客に「?」を投げかけています。
分かり易いものが好まれがちな世の中で、「?」に出会うのは新鮮で刺激的な体験になります。半世紀も前に作られた本作は、まだ「?」を放っているのです。
★★★☆☆(2019年11月27日(水)テレビ鑑賞)
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