第二十五課 火事。 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

明治二十六年発行の『新撰小學讀本巻五』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
 
第二十五課 火事。
 
或日、一人の小兒、座敷に在りて、らふそくをともし、紙をもやして遊べり。紙はもえながら、四方に飛びちれり。小兒は、餘ねんなく、たのしみ居たる間に、一片の火のこ、飛びて障子にもえつきたり。小兒は、おどろきて、之を消し止めんとせしかども、其力及ばずして、火は忽ち屋根にもえうつれり。父は其物音を聞き、かけ來りしが、最早如何ともせんかたなければ、火事よ火事よと、大音に呼はりて、救いを求めたり。
人々おどろきてはせ集り、一生けん命に、力をつくしたれども、晴天の打ちつゞきし後なりければ、火せいは、ますます強くなりて、となりの家につたはり、其火は。追々飛びちりて、遂にすさまじき火事となり、見る間に數十戸をやきつくせり。實におそろしき事ならずや。故に小兒は、決して火を弄ぶべからず。
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【私なりの現代語訳】
 
ある日、一人の子供が、座敷にいて、ろうそくに火を燈し、紙を燃やして遊んでいました。紙は燃えながら、四方に飛び散りました。子供は、夢中になって、楽しんでいる間に、一片の火の粉が、飛んで障子に燃え移りました。子供は、驚いて、これを消火しようとしたけれども、その力が及ばなくて、火はすぐに屋根に燃え移りました。父はその物音を聞き、駆けて来ましたが、もはやどうにも、対処法が無かったので、「火事だ火事だ」と、大声で呼んで、助けを求めました。
人々が驚いて急いで集まり、一生懸命に、尽力したけれども、晴れの日が続いた後であったので、火の勢いは、ますます強くなって、隣家に延焼し、その火は、どんどん飛び散って、最終的に凄まじい火事となり、見る見る間に数十戸の家屋を焼き尽くしました。本当に恐ろしいことです。故に子供は、決して火遊びしてはいけないのです。
 
【私の一言】
 
ブログやSNSでの何気ない一言で大騒ぎになることを「炎上」と言います。子供に火遊びさせてはいけないように、ネットに未熟な者は言葉選びに慎重でなければなりません(自戒の念を込めて)。
 
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